岡山市の工務店 森材木店 注文住宅 リフォーム 岡山県岡山市南区灘崎町 倉敷市 玉野市

目に見えない環境汚染時代を生き抜くために43

 ◇ カイケンコーポレーションさつま工場視察報告


 皆さまお馴染のカイケンコーポレーションのさつま工場の視察に行って参りました。浦上社長の講演を二度お伺いし、シックハウスシンドロームが蔓延している現状に改めてショックを受けました。13種類にも及ぶシックハウスの原因物質の中の2種類しか2003年に施工されたシックハウス法で規制されていないというのですから。国民の健康を看過し産業界に阿る政府は一体誰のための政府なのでしょうか。

blog161005-1.jpg

 筆者は長年電磁波問題を追及しながら同様の想いを抱き続けて参りました。電磁波規制は商用周波数(50ヘルツ、60ヘルツ)で200マイクロテスラ(2000ミリガウス)以下とされています。15年前に取材した世界各国の電磁波の生体影響を研究している科学者らが推奨していた1ミリガウス以下とは2000倍もかけ離れているものです。近年はさまざまな周波数帯の電磁波が生活空間を飛び交うようになり複合作用も懸念されます。

 総務省は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の定めた国際的なガイドライン値に準ずるので安全としていますが、昨年5月に190名の世界各国の科学者たちが世界保健機関(WHO)と国連に対して既存のガイドラインの見直しを嘆願しました。陳情文書の中でWHOは産業界のインサイダーから構成されるICNIRPが推奨するガイドラインを支持し自らの推奨値を無視し続けていると非難しています。産業界に買収されている科学者や識者が中立的になれるはずがありません。

 複合環境汚染時代を生き抜くためには、自分の身は自分で守るしかありません。残念ながら筆者の東京都内のオフィスは「空気のまずい」新建材をたっぷり使った典型的な賃貸マンションであり、感覚が麻痺してしまっていることに気づかされる視察となりました。鹿児島訪問は1997年の屋久島取材とエコツアー以来ほぼ20年ぶり。秋雨前線の影響で羽田は雨。鹿児島空港に到着すると空が明るくなってきました。

 カイケンコーポレーションの和泉室長にお出迎え頂き、佐武の高橋室長と萩から参加の北浦建設の廣畑社長と4名でさつま工場に向かいました。祝日にもかかわらず視察をご快諾頂きました浦上社長とスタッフの皆さまにこの場をお借りして御礼申し上げます。高台にある広々とした工場の敷地内の奥の坂道を上ったところに昨年オープンしたモデルハウスを見学する前に工場をご案内頂きました。

 眼前に忽然と現れた敷地内に整然と立ち並ぶ工場の姿は壮観そのもの。最初に見学させて頂いたのは出荷を待つ音響熟成木材の収納庫でした。入口に近づくと芳香が漂ってきます。空港から工場への道すがら目にとまったのは杉林と竹林。真直ぐに林立する杉林は植林されたものですが、南九州産の杉材の発祥は約370年前に遡り、飫肥(おび)藩の財政を助けるために植林されたことが始まりとされているそうです。

blog161005-2.jpg

 同じ杉でも樹脂分が多く、ねばりを持ち、水に強く、腐りにくいのが特長とのこと。竪穴式住居や高床式倉庫にも使われていた杉材は日本人にとって最も馴染みのある木材です。水に強く加工しやすいため縄文時代の丸木舟にも使われ江戸時代にも南九州産の杉材は特に重宝されたそうです。国民病と化した花粉症ゆえネガティヴなイメージがつきまといますが縁遠くなってしまった現代人への警鐘なのかもしれません。

 所狭しと積み上げられた製材は、音響熟成後に工機で寸分の狂いなく整えられたもの。暴れや反りは一切見受けられません。浦上社長曰く、「材木に詳しい人がこの風景を見ると非常に驚くのですよ。」とのこと。なるほど、と頷きました。削りカスはダクトに吸引され一箇所にまとめられて再利用されており工場内はどこも清潔でした。さまざまな種類の工機類に目を見張りましたが、それらのほとんどが特注品とのこと。

blog161005-3.jpg

 次にご案内頂いた加工場では音響熟成木材を使用した家具や建具がつくられており、細かな加工を自在に操る工機の数々は女性一人でも操作可能とのこと。特注のオーダー家具が住まいに合わせてつくられていきます。細かなデザインや表面加工も工機で可能とのこと。家具職人やデザイナーの手作り品とどう違うのか、工場内には梱包された在庫しかなくモデルハウス見学への期待が高まります。

 音響熟成木材を特殊加工した黒色の造作材の工場見学はできませんでしたが、機能と見栄えを兼ね備えた同材は試行錯誤を重ねて独自に開発されたそうです。音響熟成庫内の見学もできませんでしたが、工場外に設置された除湿機の室外機から水が流れていました。じっくりと常温でクラッシック音楽を聴かせながら熟成される木材は一週間を過ぎた頃から大量に水分を放出するそうです。不思議ですが自然の摂理なのでしょう。

 日々の指標計測を欠かさずに熟成を終えた木材は選別後に節の穴埋めが手作業で行われます。節の数が多いように感じたのですが、実際に木の中心部にいくほど節の数が多く材質も良質とのこと。人間も木材も外見より中身なのですね。別棟の加工場では音響熟成木材と機械乾燥木材の比較を行いました。差は歴然としていながら、機械乾燥木材の香りに慣れているため最初に削って頂いた同材からも木の香りがしました。

blog161005-4.jpg

 しかしながら、次に削って頂いた音響熟成木材の削りカスの芳香でハッと気づかされました。よくよく嗅ぐと機械乾燥した削りカスはすえたような臭いがしていました。酢昆布の臭いがするでしょうと言われましたが確かにその通り!これを木の良い香りだと勘違いしてしまう感覚の退化を嘆きつつモデルハウスに向かいました。敷地の西側の土地は開け遠くの山並みまで見渡すことができ、モデルハウスの建つ東側は杉林が隣接し見事なランドスケープとなっています。バーベキューエリアも新設中でした。

blog161005-5.jpg

 3棟のモデルハウスの内、高級バージョンのモデルハウスから見学をさせて頂きました。一言で申し上げますと「いつかこんな家で暮らしてみたい」という夢が現実になった空気の美味しい空間でした。設計士泣かせの間取りやディテールへのこだわりには浦上社長の想いがこめられています。窓から見える風景すらオリジナル家具と建具類がフル装備された空間を薩摩焼等の調度品や照明器具と共に引き立てていました。

blog161005-6.jpg

 驚いたのはトイレや洗面所や脱衣所の床やバスルームの壁も全て音響熟成木材ではりめぐらされていたこと。建具付のトイレは日本ではほとんど見受けられず斬新な印象を受けました。キッチンもそうですが、水周りにこれだけ木材を使用できること自体、本当に大丈夫なのかと最初は思いましたが、これが生きている音響熟成木材の真骨頂なのだと悟りました。汚れてもメラミンスポンジでこすればとれるそうで消臭剤も必要ありません。傷がついても自然に修復されてしまうのだそうです。

 玄関前の庭に連なる別棟のウッドデッキを舞台に先日コンサートも行われたそうですが、人が集うライフスタイルの提案もされていて素晴らしいと思いました。その昔、信州のハウスメーカー社長がアメリカの街並みに感動して街並みごとプロデュースしたツーバイフォー住宅街の販売のお手伝いをさせて頂いたことがあるのですが、景観的には見事ではありましたが、空気のうまい家ではありませんでした。有機栽培や生ごみの堆肥化などの提案をさせて頂きましたがエコにも限界がありました。

 コミュニティデザインについては欧米に学ぶところもありますが、地元の素材を活かしたカイケンコーポレーションの健康住宅の家づくりの理念や省エネリフレクトホームに共鳴するコミュニティがいつかどこかでつくられることを期待するものです。環境に負荷のない暮らし方を追い求める人々のコミュニティが世界的な広がりをみせる中、国内に新たなエコビレッジができる日を楽しみにしたいと思います。

blog161005-7.jpg

 続いて富裕層でなくても手が届く範囲とのモデルルームへ(上記写真3点)。間取りの違いはあっても使用している素材が最高級品であることに違いはありません。小さなお子様がいらっしゃる世帯にはぴったりだと感じました。LDKは広々としており、デザイン性と機能性を兼ね備えたキッチンでの料理も楽しめそうです。造りつけの棚もふんだんにあり収納も安心。ロフトで繋がる寝室2部屋の収納の建具も工夫を感じられました。和室の天井は木材のままの姿を希望されるお客様が多いとのこと。

blog161005-8.jpg

 最初に書きそびれてしまいましたが、音響熟成木材の床材は木の表面を丁寧にこすり、年輪を浮き上がらせる「うづくり」加工がなされています。筆者も裸足で歩かせて頂きましたが、足裏が自然にマッサージされて心地よく身体がぽかぽかしてきました。睡眠不足且つ低血圧で最初はふらふらしていたのですが、血行が促進され体温が上がってきたように感じました。

 最後にオフィスで使用されているモデルハウスに移動し、セミナールームで浦上社長のレクチャーを受けました。オフィス棟の写真は割愛させて頂きますので訪問されたときの楽しみにして頂ければと思います。近年大手ハウスメーカーがカイケンコーポレーションのそっくりさんを発表しているお話には失笑してしまいましたが、本物志向のお客様が増えていることを実感する機会となりました。

 ご夫婦で年間14棟〜15棟の実績をつくっているケースもあるそうで、会社の規模ではなく、継続とヤル気が大切、とのお言葉に説得力がありました。熊本地震では長期優良住宅仕様の家がバタバタと倒壊したそうですが、生きている音響熟成木材は割れても折れず、木材の繊維が壊れている集成材は筋交いが折れていたそうです。しかも、集成材は水に弱く結露して腐りやすくカビ臭いシックハウスの元となります。

 実は筆者の築50年の実家の耐震リノベーションでリフレクティックスとカイケンコーポレーションの健康素材を活用したいと考えております。その模様は別途ご紹介できればと思います。