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目に見えない環境汚染時代を生き抜くために41

◇クリーンウッドを活用しよう
◇ニースで起きたテロについて


 今回は釈迦に説法のようなお話になるかと思いますが、木材を取り巻く現状について簡潔にご紹介したいと思います。是非ご一読くださいませ。

 カイケンコーポレーションの『音響熟成木材』には九州産の杉が100%使用されていますが、日本の市場では輸入材が多く使われ木材自給率は約3割 しかありません。しかも、熱帯木材生産国で生産される木材の50%〜90%が違法伐採ではないかと指摘されています。こうした状況をふまえ、今年5月の伊 勢志摩サミットでの違法伐採根絶宣言に伴い合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(通称:クリーンウッド法)が成立し、1年後の施工に向けて関 連法令整備が進んでいます。

 筆者が違法伐採問題に気づいたのは環境問題に関心を持ち始めた1990年に遡ります。当時はバブル景気の末期。環境のことなど誰も気にしていませ ん。そこで、環境分野の専門家を探して現状について教えてもらうことにしたのです。大学には環境と名のつく学部も学科もない時代でした。C.W.ニコルさ んから森づくりの大切さを学んだり、第一回目のアースディを開催した事務局に通うなどしていました。

 ニコルさんが1986年に購入して手入れを始めた黒姫の放置林は見事に再生し、2002年に設立された一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森 財団ではトラスト運動も展開。現在は隣接する手入れ不足の国有林をも借り受けて再生に取組んでいます。アファンとは故郷ウェールズで再生したアファン森林 公園にちなんでいます。

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 日本は世界第三位の木材輸入国です。違法伐採が横行するインドネシアとマレーシアの熱帯木材の主たる輸出先となっている日本が法制化によってプ レッシャーをかけることで現地の森林減少に歯止めがかかることを願うものです。1980年代に大きな問題となったアマゾンの森林減少は縮小傾向にあります が、それでも世界最大の森林消失国のままです。インドネシアにおいても未だ汚職が止まず違法伐採による森林減少が続いています。

 こうした状況にハリウッドの大物が立ち上がり、ドキュメンタリー「Years of Living Dangerously(危険な時代に生きる)」を制作(全9作)。先日NHKのBSで再放送した番組を偶然目にしました。米国の環境団体の副代表も務め るハリソン・フォードがインドネシアの違法伐採現場にふみこみ、インドネシア大統領に直談判して担当大臣の管理の甘さを是正させようとします。演技ではあ りませんが、映画をしのぐ迫力ある内容でした。

 残念ながらネットで閲覧できる動画は英語のみですが、ハリソン・フォードの本ドキュメンタリーへの想いをまとめた短編動画と要約をご紹介します。 マット・ディモンやアーノルド・シュワルツェネッガーも登場する本作品シリーズは、『ターミネーター』『タイタニック』『アバター』のジェームズ・キャメ ロン監督がエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめています。

出典:Years of Living Dangerously オフィシャルサイト

私は自分とは別の信ずべき何ものかを必要とし、自然の中に神のようなものを発見しました。その美は私にインスピレーションを与えてくれます。

我々はインドネシアのテッソニロ国立公園を訪ねました。森林破壊は進み18%しか残っていません。農業プランテーション用に違法開発されているのです。

インドネシアでは1990年以降、違法伐採により森林面積の25%が失われました。木を切ればお金になるからです。

私は話を聞くにつけ怒りを覚えました。森林保全と汚職や腐敗は相反するものです。自然は人間を必要とはしていない。人間が生き延びるために自然を必要としているのです。失ったらそこまでです。

林業大臣との会合が待ちきれません!人々はこのことを知り、過ちを見つめ是正するメカニズムを導入しなければなりません。

やらなければならないのは『今』です!


 インドネシアの森の多くは伐採されてアブラヤシのプランテーションに化けています。アブラヤシは食品や洗剤、バイオ燃料まで幅広い用途に使われて おり日本は大消費国でもあります。原生しているアブラヤシは森林の一部と見なされますが、換金作物としてのプランテーションは除外されます。パーム油(植 物油脂と表記されるケースが多い)を使っているからエコでヘルシーといった謳い文句に騙されてはいけません。

 ハリソン・フォードは本編の中で現地のみならず、パーム油の大手需要家である大手外資系企業をも問い詰めます。購買担当者に直接電話をして、「あ なたがたが使っている原材料が森林の違法伐採を助長していることをご存知でしょうか?」と。担当者は合法的な原材料を調達する努力はしているけれども追跡 にも限界があると開き直ります。実際に証明書すら偽造されているケースがあるのです。

 日本のパーム油の大手需要家である花王は環境団体グリーンピースとの協議を経てパーム油の調達方針を変更(2013年)。2015年末までに、花王グ ループの消費者向け製品に使用するパーム油は、持続可能性に配慮したミルまで原産地追跡可能なもののみを購入することを目標としました。トレーサビリティ は輸入依存の大きい食品業界から広がりを見せていますが、輸入原材料を使用する企業や消費者も注視していかなければなりません。

 ヤシノミ洗剤で有名なサラヤはこうした問題への対応で先陣を切った企業です。インドネシアの深刻な現状を知った同社は、欧州大手食品企業やパーム油生産 企業が参加する「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)に2005年に参加し、認証されたパーム油のみを使用。売上の1%をボルネオの生態系 保存に提供しています。サラヤはアフリカで手洗い運動を推進するなど衛生事業にも果敢に取組んでいます。

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 インドネシアのラミン材のようにワシントン条約付属書に登録され、伐採・取引共に禁止された樹種もあります。2001年にインドネシア政府がラミ ン伐採・取引禁止令を施工したにもかかわらず、日本では2006年に375社がラミン材使用停止を表明するまでに5年以上かかっています。2003年の データですが、世界の違法伐採材の約2割を日本が輸入していることが推計されています。

 これからは国内外を問わず、森林の減少を伴わない持続可能に管理された森林からの木材を調達・利用するよう努めなければなりません。既に2001年に施行されているグリーン購入法によって木材業界も対応策を講じており、全国木材組合連合会では「合法木材ナビ」(http://www.goho-wood.jp/)による啓発も進められてきました。日本合板商業組合や日本木材輸入協会、日本林業経営者協会、全国森林組合連合会などの関係団体も業界団体の認定制度をつくっています。

 ご承知の通り、木材は建材のみならず紙としても大量に消費されており、グリーン購入法によって最初に動いたのは製紙パルプ業界でした。大手需要者である リコー、キャノン、富士ゼロックス、アスクルなどからグリーン調達が広がっていきました。一方、木材製品については、「合法性」や「持続可能性」が証明さ れたものとする措置が導入され、森林認証制度(PEFC、FSC、SGEC等)を活用する方法が広がりをみせています。

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 森林認証制度には、森林管理を認証する「森林管理(FM)認証」と認証森林から算出された林産物の適切な加工・流通を認証する「CoC認証」で構 成されています。CoC認証は建築業者も取得可能です。素材生産業者、加工流通業者、建築業者、小売業者らが連携して認証材の供給体制の計画をつくり認証 機関と契約し審査を受ける際、加工流通業者が中心となるモデルが推奨されています。


◇ニースで起きたテロについて

 長年にわたり世界第一位の観光客数を誇るフランスには年間8370万人もの人々が訪れています(2015年)。しかしながら、昨年11月に発生したパリ 市街と郊外におけるISIL(イスラム国)の戦闘員と見られるグループによる銃撃や爆発により130名の貴い命が犠牲となりました。さらに、フランス革命 を祝うパリ祭の7月14日には、フランスきっての観光名所であるニースにおいて凄惨なテロが発生し84名もの人々が犠牲になりました。

 事件が発生したプロムナード・デ・サングレには筆者も訪れたことがあり衝撃を受けています。もう平和な社会に戻ることはできないのでしょうか。主犯は チュニジア出身者でしたが、フランス国内には居住権を持つイスラム教徒(ムスリム)が人口の約10%を占め、これまでもムスリムを取り巻くさまざまな課題 が指摘されていました。北西アフリカ諸国(チュニジア、アルジェリア、モロッコ、リビアなど)出身の市民に対する差別もあります。

 93年に欧州連合(EU)が発足すると域内を移動する人々の数が増え、フランスに観光立国としての自覚が芽生えたのか観光客への対応も改善されました。 英語を知っていても話さない、ブランド店では入店を拒否される、高級ホテルではボーイがサービスに差をつけるといった話は徐々に聞かなくなりましたが、 70年代と80年代にパリを観光したときの『何もかも暗い』印象から二度と訪問したくないと思っていました。

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 ところが、90年代半ばにフランスのエコグッズの輸入販売事業に携わるようになると初めて南フランス(ニースやモナコ)の美しさを知りました。モナコで は世界中のセレブが集まる珊瑚礁保護のチャリティ舞踏会にも参加する機会が度々あり、ノブレス・オブリージュ、つまり、高貴な者は社会的責任を果たさなけ ればならないという貴族の道徳観を垣間見ることもできました。前述のジェームズ・キャメロン監督も常連の一人でした。

 しかしながら、観光や仕事で表面的なものを見ていただけでは知りえない民族間の溝について7月に来日したモロッコ出身のユダヤ系フランス人の友人が話し てくれました。「フランスのファッション雑誌の広告を見てごらん。モデルはブロンドの白人ばかり。アラブ系のモデルはほとんどいない。これは世界のファッ ションを牽引しているフランスで続いていること。」彼はイブ・サンローランらと仕事をしていたファッション業界人ですが、フランスではユダヤ人もテロの標 的とされています。

 「北西アフリカ諸国からの移民は50年以上にわたり郊外の貧民街に住み続けている。フランス政府もフランス人もその状況に対処せずに放置してきたんだ。 彼らには清掃、建設、工場の作業員以外の仕事は少なく置かれた境遇にも黙って耐えてきた。ところが、フランス市民権を獲得できる子の世代になると状況は一 変。中東にいる過激派が彼らの怒りをかきたてているんだよ。」

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 チュニジアで発生した『アラブの春』が民主化を推し進めた一方でその流れに反発する過激派がはびこる北西アフリカ諸国。2015年にノーベル平和賞を受 賞したチュニジア国民対話カルテットの講演会に都内で参加し、イスラム主義勢力と世俗派勢力間の対立を対話で回避した市民社会団体のリーダーたちのお話を 伺いました。イスラムと聞くとテロや過激派を想像しがちですが、決してそうではありません。

 「対話」は平和醸成には欠かせず、それは国同士の争いもあれば、職場や家庭にも当てはまります。フランスでは双方の対話が行われてきておらず、テロの遠 因になってしまったようですが、対話によって生まれた共感は、それぞれの立場や境遇の違いを超えた友情をも育むものです。これはイスラエルとパレスチナの 青少年の対話交流プログラムを続けている筆者が実感していることでもあります。

 一方、チュニジアのノーベル平和賞受賞者らがテロ抑止の国際会議を提唱しても、その呼びかけに先進諸国は応じようとしないとのこと。平和な社会が訪れる ことは、先進諸国の軍需産業で潤っている一部の人々にとって都合が悪いことなのでしょう。環境問題もテロの問題も根源には人間のエゴが蠢いています。ノー ベル平和受賞者の一人が、アルカイーダもISもアメリカがつくりだしたものだ、と発言しましたが、歴史の真実が紐解かれる日もそう遠くはないように感じて います。