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目に見えない環境汚染時代を生き抜くために35

                                   環境ジャーナリスト 佐藤恵里

◇世界的な水循環の異変
◇おめでとう!琴奨菊関!


  暦上では一年で最も寒いとされる大寒を経て立春を迎えましたが、皆さまにおかれましては如何お過ごしでしょうか。暖冬が一転して全国各地で真冬の寒さとな り、観測史上最低気温を西日本各地で更新するなど、寒暖の差が激しさを増しています。奄美大島で115年ぶりに雪が積もるなど九州や西日本各地で記録的な 降雪となり、大寒波の影響で水道管の凍結・破損による断水状態が続き日常生活を直撃しました。

 過去最大のエルニーニョ現象によって暖冬になることは予測されていましたが、世界各地で異常気象に拍車がかかっており、甚大な影響をもたらしてい ます。先月の出張時には暖冬だったニューヨークも一月下旬に史上2番目に大きな暴風雪に見舞われ、同じアメリカ北東部の首都ワシントンDCでも交通機関が 麻痺して非常事態宣言が発令され政府機関も閉鎖されてしまいました。

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 数ヶ月前には年間降雨量が少ない砂漠の国、サウジアラビアやイエメンで大洪水が発生し瞬く間に都市部が水浸しに。そもそも雨量の少ない地域で治水 がなっておらず、都市インフラの脆弱さが露呈しました。英国北部やアメリカ南部・中部でも年末年始にかけて洪水や竜巻に見舞われるなど、地球の水循環に異 変が生じています。

 今年に入ってからインドネシアやロシア、中央アジアで火山の噴火も相次いでいます。超巨大火山(スーパーボルケーノ)と呼ばれる世界最大級の火山 が北米のイエローストーン国立公園内にあります。前回の噴火は約64万年前ですが昨年から群発地震が続き注目が集まっています。一旦噴火すると、グランド キャニオンを埋め尽くすほどの火山灰が北米西部一帯を覆うと予測されています。

 日本では箱根山の噴火警戒レベルが1に引き下げられましたが、レベル2の火山が8箇所(吾妻山、草津白根山、浅間山、御嶽山、阿蘇山、霧島山、桜島、諏 訪之瀬山)、口永良部島は最高のレベル5で避難が続いています。自然の脅威は今に始まったことではありませんが、生き抜いていくためには、自然を畏れ、自 然を敬い、自然と共生してきた先人達の叡智に学ぶことが環境汚染を続ける文明人に課されているようです。

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 世界史の授業では、四大文明のエジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、黄河文明が生まれ、そして、滅びたと学びました。おおよそ、古代か ら現代に至るまでほとんどの文明が滅んできたと言っても過言ではないでしょう。8世紀の有名な中国の詩人の杜甫が『春望』という漢詩で『国破れて 山河在 り 城春にして 草木深し』と詠んだように、栄枯盛衰を絶えず繰り返してきたのが人類史と言えましょう。

 一方、文明は滅びても自然と共生していた人々は生き続けました。砂漠・土漠化してしまった古代エジプトやメソポタミア(現在のイラク)、ギリシャ やパレスチナには豊かな自然が広がっていたことが判明しています。自然の脅威に応戦できない文明は滅びたと著名な歴史家のトインビーは説いていますが、自 然や隣人と共生できなかったことが原因ではないでしょうか。文明を築いた人々は文化的で優秀とされてきましたが、果たして本当にそうでしょうか。

 地球には既知の哺乳類約6000種、鳥類9000種、昆虫95万種、維管束植物27万種など175万種と知られざる生物も含めると総数500万 種〜3000万種が生息しています。それでは、自然と共生していない種は幾つあるでしょうか?答えは1種のみ。つまり、人間のことです。私たちが生き方を 変えない限り、他の種を巻き添えにした大量絶滅の道を突き進んでいくことになるでしょう。

 とある科学者が近年のゲリラ豪雨のことを、地上の酸素が少なくなってきているため水循環でバランスをとろうとしている現象、と語っていました。確 かに、有史以前の大気中の酸素量は30%〜35%あったとされていますが21%まで減っています。しかも、人口密度の高い大都市圏においては 12%〜17%まで落ち込んでいると言われており、二酸化炭素が増加しています。有史以前には今の倍の森林面積があったことを考えれば納得がいきます。

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 海に生息する酸素を産出するプランクトンの数も30%減少しており、地球に150箇所あるとされる海水汚染ゾーンの深刻化に伴い、さらなる悪化が 見込まれています。現代における大気中における酸素の%の低下は、主として石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を大量に使用し続けていることに因るもの です。18%未満になると酸素欠乏症を発症し(個人差があります)6%〜7%まで落ち込むと生命を維持することが困難になってきます。

 以前、酸素の欠乏によって毎年数千人の人がインドで亡くなっていると現地の人から聞かされ驚いたことがあります。二酸化炭素の排出量の削減については全 世界が躍起になって取組んでいますが、酸素の減少問題は話題にものぼりません。しかしながら、今日の大都市圏の酸素レベルでも健康を維持することが困難だ と語る専門家がいることも事実です。

 身体の免疫システムの維持には細胞や組織に必要な酸素を送り込むことが不可欠です。現代人は呼吸が浅くなりがちですので、意識的に深呼吸や腹式呼吸をす るなど、酸素をしっかりとりこみましょう。休日には森林浴やハイキング、ゴルフ、釣りなど自然の中でマイナスイオンをとりいれ、ジョギングやウォーキン グ、水泳など酸素摂取能力を高める有酸素運動を行いましょう。

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 筆者は全国各地の聖地巡りやNPO活動で里山国際交流を行うなどして、マイナスイオンをとりこむ機会を意識的につくっていますが、都市にお住まいの方に は定期的に自然の中で過ごす機会をつくることをお勧めします。マイナスイオンは万病の元と言われる活性酸素と結びついて酸素に戻してくれるものです。活性 酸素については、数多くの著書や情報がありますので省略しますが、電磁波やストレス、紫外線や化学物質、過度の運動などで発生しますので屋内環境にも気を つけなければなりません。

 ◇おめでとう!琴奨菊!

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 この度、大相撲初場所で日本人力士として十年ぶりの優勝を果たし、1月30日の32歳の誕生日にめでたく結婚式を挙げられた琴奨菊関を心より祝福するも のです。この機会に、佐渡ケ嶽部屋を通じてイスラエルとオランダに相撲を紹介させて頂いた折のエピソードをご紹介させて頂こうと思います。オランダ相撲に ついては拙稿で以前簡単にご紹介させて頂きましたのでイスラエル相撲を中心にいたします。

 イスラエル場所は2006年、オランダ場所は2009年に行われましたが、筆者は双方のプロジェクトを担当し、佐渡ケ嶽部屋の親方やおかみさんをはじめ 力士やスタッフの皆さんと共にかけがえのない思い出をつくることができました。というのも、相撲部屋単位での海外巡業は日本相撲協会によって禁止されてし まったからです。いずれも強行軍で、さまざまなハプニングに見舞われました。

 筆者と佐渡ケ嶽部屋とのご縁は1990年代に始まり、千秋楽のパーティーに時折参加しておりました。2000年には、後に駐日イスラエル大使となるコー ヘン氏と奥様の来日期間が千秋楽のパーティーと重なりご案内する機会がありました。その後、コーヘン氏が大使に就任するや、佐渡ケ嶽部屋とのご縁が深ま り、前例のない大相撲公演をイスラエルで実現したいという気持ちが高まったそうです。

 イスラエル国の人口の約7割を占めるユダヤ人が信仰するユダヤ教の正典(キリスト教の正典でもあります)、旧約聖書の創世記に「ヤコブが天使と相撲を とって勝った」という記述があります。天使と相撲をとって勝ったヤコブにはイスラエルという名前が与えられました。日本における相撲も元来神道に基づく神 事や祭りであり、古事記にも相撲の起源とされる神々の闘いの描写が残されています。

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 ヘロデ大王によってエルサレムに改築拡張されたユダヤ王国の神殿は起源70年にローマ帝国軍によって破壊されてしまいますが、同大王が地中海沿いのカエ サリアという街につくった円形劇場が大相撲イスラエル場所の舞台として選ばれました。映画の『ベンハー』で繰り広げられたような戦車競技が実際に行われて いた場所でもあります。当時から数千人を収容でき現在も野外コンサート会場として使われています。

 実は、イスラエル場所の前日にコンサートがあり、土俵がコンサート後にしかつくれないという大問題がありました。通常、土俵づくりは呼出さんたちの仕事 で、国内の巡業では2日間かけてつくられていますが、佐渡ケ嶽部屋の呼出2名が中心となり、何とかして1日でつくりあげるため現地スタッフと共に取り組み ました。予め土俵づくりに使われる土のサンプルを分析し、同じ組成の土をつくって準備していました。

 最も懸念されたのは、つくった土俵が乾かないのではないかということ。親方もしっかりとした土俵がつくられなければ相撲はできない、という姿勢。真夜中 からトラックで運びこまれた土で土俵をつくり、親方も女将さんもコーヘン大使も大使館や地元スタッフも大勢総出で一刻も早く土俵づくりを終えるために尽力 しました。イスラエルの乾季だったことも幸いし、当日本番の夜8時までに土俵は無事完成しました。

 力士の皆さんは、記者発表会、大統領の表敬や小児癌病棟の慰問、地元の子どもたちとの相撲教室など分刻みのスケジュールをこなしつつ、本番に向けて体調 管理に余念のない様子でした。ちゃんこ鍋の用意はできなかったものの、現地の食事にチャレンジし、夜食に巨大なおにぎりが差し入れられるなどの気配りも あってか何とか乗り切ることができました。しかしながら、毎晩深夜に及ぶ強行軍に全員疲れ果ててしまい、現地スタッフとの間に入っての対応で連日徹夜に近 い日々を送っておりました。

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 イスラエルには相撲好きな人が多く、当時で300名の愛好家がイスラエルのアマチュア相撲大会に参加したほど。いすゞ自動車の現地の代理店と藍澤證券が スポンサーとなり、滞在期間中は移動用のバスをはじめ至るところでバナーが目にとまりました。国営放送や主要新聞にも連日とりあげられ、訪問地では民衆に 囲まれ大人気。かねてより、いすゞ自動車は『タフで長持ちする相撲力士のような車』というPR戦略でSUMOブランドをつくっており、PR効果は抜群でし た。

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 満場御礼となった本番では、神事に始まり、両国の国家斉唱、日本の相撲の歴史や伝統、決まり手や禁じ手(初っ切り)の紹介やちびっこ相撲、髷結い の実演など、バラエティ溢れるプログラムが準備されており、聴衆の歓声が鳴りやみませんでした。特に、相撲力士が披露した『股割り』には大きなどよめき が。琴欧洲は日本ではベッカムのように人気があると紹介されていました。琴欧洲のご両親がブルガリアから駆けつけて息子との久々の対面を楽しんでいたこと が印象に残っています。

 2006年当時、佐渡ケ嶽部屋に所属する力士の数は日本で一番多く、しかるに単独での興行が可能となった面がありますが、13名の力士たちが土俵 での取組みを行いました。最後は大関の琴欧洲と関脇の琴光喜、平幕の琴奨菊が巴戦を行い、大いに盛り上がった末、琴欧洲が見事優勝を飾りました。2千年の 歴史を持つ相撲の2千年の歴史を刻む遺跡での取組みは、時空を超えた幻想的なひとときでした。

 無事興行が終了してほっとしたのも束の間、翌日は朝早くから死海に向かいました。これはコーヘン大使のかねてからの計画で、世界最大とも言える力 士の皆さんに世界で最も標高の低い死海での浮遊体験をしてもらい、日本人向けの観光PRの目玉にしたいと切望していたものです。その目論見は見事成功し、 力士たちが全員死海に浮いた姿は世界各国から集まった報道各社を通じて世界中に配信されたのです。

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 琴奨菊が誤って死海の水を目にいれてしまい、筆者が急いでシャワーにお連れして目を洗って頂いた折の地元テレビのインタビュー動画がイスラエル国 営航空機内テレビで長期間流され、イスラエル人の知人から指摘されたことも。故先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴櫻)は車椅子で同行され、エルサレムで食事をさ れた折に「来ることができて本当に良かった」としみじみと語られたことも印象に残っています。

 さまざまなハプニングの矢面にたち前向きな対応を続けられた佐渡ケ嶽親方と女将さんの判断力と行動力、リーダーシップにも感服したものです。女将 さんはカナダに留学されていたことがあり英語も流暢で現地での対応もスマートにこなし、佐渡ケ嶽親方をはじめ、力士やスタッフ全員を常に気遣われる姿に日 本人女性のおもてなしの精神を学ばせて頂きました。大女将は大変ユーモアに溢れたお人柄で、先代親方と共に一行を温かく見守って頂きました。

 あれから10年。当時は兄弟子の胸を借りて稽古をしていた琴奨菊は、翌年の先代佐渡ケ嶽親方の死をはじめ、兄弟のように仲睦まじかった琴光喜がオ ランダ場所の翌年に解雇され、14年には琴欧洲の引退もあり、さまざまな苦難を乗り越えてこられたことと思います。私生活のことは新聞でもとりあげられて いましたが、琴奨菊は本当に純粋でチャーミングな力士です。オランダ場所では弟弟子の琴勇輝を可愛がっている姿が印象的でした。

 奥様の祐未さんは三カ国語が話せる才色兼備の優しい女性です。琴奨菊関より、相撲を通じて国際貢献をしたいと妻と話し合っている、とのコメントを お聞きし、いつかまた世界のどこかで相撲を通じた国際交流ができることを楽しみにしているところです。佐渡ケ嶽部屋を訪問すると、稽古の終わりに力士たち が全員で相撲道の歌を合唱します。相撲道は遠く険しく日々の凄まじい稽古の積み重ねであることを認識させられるひとときです。

日本の国技である相撲が世界各国からの力士を受入れ図らずも国際化が進んでいるように、海外においても表面的ではない相撲道の本質を伝えていく重要性を 改めて実感しております。会員の皆さまが好きな力士や相撲部屋はまちまちかと思われますが、今年も3月の大阪場所、5月の東京場所、7月の名古屋場所、9 月の東京場所、11月の福岡場所と続きますので、足を運んでみては如何でしょうか。

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