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目に見えない環境汚染時代を生き抜くために34

環境ジャーナリスト 佐藤恵里

◇新春の御挨拶
◇ニューヨークで地球の未来を考える


  謹んで新春のお慶びを申し上げます。2016年(平成28年)が会員の皆さまにとって大いなる飛躍と発展の年となりますよう心より祈念致しております。

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 今年は全国各地で初日の出が観測され幸先の良いスタートが切れたのではないでしょうか。人気の高い初日の出フライトからはダイヤモンド富士の写真も。は とバスツアーは洋上や岬、山の絶景スポットから見る初日の出ツアーを催行、東京スカイツリー展望台では880名のお客様限定の特別営業を実施し、御来光を 拝みながら絶景を満喫できたことでしょう。日本政府観光局によれば、新年に初日の出を観賞する習慣は明治期に始まったとのこと。初詣と併せ日本人の風習と して紹介されています。

 地元の神社や仏閣などに初詣にでかけられた方もいらっしゃると思いますが、文化庁によれば日本には約8万8千社の神社が点在しています。摂社や末 社などを加えると20万〜30万社にものぼるとも言われています。寺院や仏閣は約7万7千社、キリスト教会は約7千箇所あります。その他の諸教というジャ ンルに含まれる各種宗教法人も約3万6千もあり、神社仏閣や教会、布教所も含めると相当数の建築物が存在していることが分かります。

 一方、宗教を信じるか?信仰や信心を持っているか?という問いに対しては、日本国民の約7割が「もっていない、信じない、関心ない」と答えていま す。母数が2千人以下と少ないものの昭和33年から5年ごとに継続して行われている調査結果はほぼ横ばい。一方、宗教心は大切かという問いに対しては約7 割が大切だと答えています。先祖を尊ぶかという問いに対しては、昭和28年には77%が尊ぶと答えていたものが平成15年には59%まで落ちこんでいま す。

 祖霊崇拝は宗教にかかわらず古代から日本に根づいている習慣だけに、若い世代を中心に祖先を疎かにする傾向が見受けられることは残念なことです。 お正月はもちろんお彼岸やお盆などの習慣や行事を通じて、その心を次世代に受け継いでいきたいものです。日本の伝統行事や記念日は数多く、西暦のカレン ダーや手帳だけでは見えてこない和暦に因んだ行事が全国で行われています。以前、拙稿で旧暦の活用をお勧めしたことがありましたが、今年も全国各地を巡り つつ「二十四節気」「七十二候」を感じながら過ごしていきたいと思っています。

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 お正月におせち料理やお雑煮、御祝い酒など美味しいものを食べすぎ、飲みすぎた皆さんの胃腸は少し弱っているかもしれません。一月七日には無病息 災を願いつつ春の七草粥を食して邪気を払い胃腸を労わりましょう。七草の行事は枕草子にも記述があるほど古く、江戸時代には武家や庶民の間で定着していた もの。いつの時代も食生活は理にかなっていますね。七草は言ってみれば、和のハーブ。ミントやバジルなどの西洋ハーブだけがハーブではありません。セリや ミョウガなど日本古来の和の薬草を食生活に積極的にとりいれてみましょう。

 ◇ニューヨークで地球の未来を考える

 ニューヨークの国連本部で2004年にアートを通した平和の文化の啓発プロジェクトをたちあげたアーチストの奥様と共に12月下旬にニューヨーク に赴きました。以前拙稿でご紹介させて頂きましたが、宇宙をテーマにダイナミック且つ愛と調和に包まれた宇宙空間を描いた佐和貫利郎氏の宇宙アートは 1999年に国連決議で採択された『平和の文化』の啓発のための切手やポスターとして活用されてきました。

 今日の日本のように平和な国では『平和の文化』って何?と笑われてしまいそうですが、生まれながらにして戦争や紛争が続く環境に生まれた子どもた ちには平和がどのようなものかが分かりません。その普遍的な価値観や行動様式、ライフスタイルを様々な手段で伝えていなかければピンとこないのです。同決 議は2000年を平和の文化の国際年、2001年から2010年までを国際十年と定めましたが、それ以降は行動計画を実行する段階としています。

 今回は全会一致の採択となった『平和の文化と子どもたちに対する非暴力』決議の立役者である、バングラデシュご出身のアンワルル・チョウドリ大使 (元国連事務次長)と再会し、現在も積極的に啓発活動に取組まれている同大使から力強い励ましのお言葉を頂きました。平和活動と聞くと「なんか胡散臭い」 「宗教活動?」と勘違いされがちですが、平和の文化を醸成する6つの基本的な価値観を共有する市民の輪を広げていくことこそ戦争の歯止めになることが歴代 のノーベル平和賞受賞者たちの教訓となっているのです。

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 その6つの価値観とは、@あらゆる命を尊ぼうA暴力を退けようB他と分かち合おうC分かるまで耳を傾けようD地球環境を守ろうE新たな連帯を築こ う、というもの。当たり前だと思われるかもしれませんが、未だにこうした基本的な価値観が共有されていない国や地域が地球上には数多く存在しています。平 和は失って初めて、その価値に気づくのかもしれませんが、失ってからでは遅すぎるのです。日本は第二次世界大戦後、平和な状態が70年間以上続く世界中で も稀な国となりました。縄文時代、平安時代、江戸時代を合わせると世界中で最も平和な時代が続いた国でもあります。

 ところが、米国人の多くは日本をそのように見てはいません。日本は南京大虐殺や慰安婦など残虐非道を繰り返したにもかかわらず未だに謝罪しない国 家だという世論が形成されてしまいました。何十年もかけてつくられたストーリーなので既に独り歩きしています。国連において日本は未だ敵国条項が外されて おらず(敵国条項自体は死文化しているものの)敗戦国扱いなのです。このような事態を招いたのは、日本の外交政策の失策はもちろん、日本人の国連崇拝にも 原因がありそうです。

 筆者は2002年〜6年までアートプロジェクトで国連本部に度々赴き、内情を観察して驚愕することが多々ありました。国連加盟国は196カ国あり ますが、国連の分担金の多くを日本が支払ってきました。どのくらいかと言えば、2015年には、国連総予算の10.3%(356億円)を拠出し、国連 PKO分担金も併せた累計は実に200億ドル(現在の為替で約2兆4千億円)。米国以外の常任理事国四カ国の分担金の累計をも大きく上回っています。それ に対して米国や中国、韓国は分担金の多くを滞納しているのです。

 にもかかわらず、国連を舞台に日本を陥れるプロパガンダは中国と韓国がタッグを組んで続けられ、パンギムン国連事務総長が就任してからはエスカ レートし、国連の中立性を逸脱した行為が日常茶飯事となっています。筆者はプロパガンダだと主張するだけの根拠を掴んでいますが、ご関心のある会員には個 別にお知らせしたいと思います。国連機関で使命感をもって勤勉に働く日本人は数多くおり、世界各国の国際協力現場で汗を流している人々のことも忘れてはな りません。

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 クリスマス間近でニューヨークのハイシーズンでしたが、到着時はカリフォルニアに来たかと思うほど暖かく拍子抜けしてしまいました。クリスマス前 夜は21度にもなりランニング姿でセントラルパークをジョギングする人の姿が報じられましたが、帰国前夜に名物のロックフェラーセンターのクリスマスツ リーを見てようやく実感が湧きました。今回は交通の便の良いセントラルパークの西南に位置するコロンバスサークル近くのホテルを拠点に活動しました。

 マンハッタンでは地価や賃料が上昇を続けており、13年前に日本人の友人が住んでいたコロンバスサークル近くの高層アパートメントの賃料も当時の 2〜3倍となってしまったそうです。ワンルーム(現地ではスタジオと言います)の40平米程度の部屋が月額30万円〜50万円。マンハッタンに住めるのは エリアにもよりますが富裕層のみとなり、多くの住民が周囲のブルックリンやクィーンズ、ブロンクス、ニュージャージー州に移住せざるを得なくなりました。

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 ブルックリンにはソーホーを拠点にしていたアーチストたちの多くが90年代から移住しマンハッタンに劣らず賃料がはねあがっているエリアもありますが、 アートのメッカとして注目が集まっています。マンハッタンからクィーンズに引越した友人は、マンハッタンから30分圏内なのに物価も賃料も安くて部屋も広 く生活しやすいと話していました。ブルックリンやクィーンズにはユダヤ人、イタリア系、アフリカ系やカリブ系、ロシア系やウクライナ系、ヒスパニック系、 アジア系、ギリシャ系など多数のコミュニティが密集しています。

 今年の米国大統領選挙に共和党からの出馬を表明した不動産王ドナルド・トランプ氏がマンハッタン内に所有する数多くのビルの中でも最高値をつけた タイムワーナーセンターこそ不動産高騰の立役者かもしれません。過激な発言を繰り返すトランプ氏ですが、支持率はトップを走り続けており共和党内の候補者 指名争いを勝ち抜くかもしれません。ヤンキースで活躍した松井選手が居住していたのもトランプタワーでしたが、今回はヤンキースの田中選手と同じ高級高層 アパートメントに住むキャリアウーマン宅を訪問しました。

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 滞在したホテルはハドソンというタイムワーナーセンターの近くでフランス人の建築家が設計したデザイナーズホテルとして知られたところでした。民泊常連 の筆者にとって久々のホテルライフは快適そのもの。今回は、アッパーウエストの世界最大規模の大聖堂(19世紀末から建設継続中)、セント・ジョン・ザ・ ディヴァイン大聖堂で毎年恒例の冬至のコンサートを開催しているポール・ウィンターのチケットを入手でき間近で鑑賞することができました。グラミー賞を多 数獲得してきたポールのコンサートは実に21年ぶり。人種や宗教を超越した多彩なパフォーマンスに目をみはりました。

セント・ジョン・ザ・ディヴァイン大聖堂には学校も併設されており、あらゆる
信仰の生徒たちを受入れ、アートやスポーツ、リーダーシップの育成に力をいれて
います。ポールのコンサートの最後に司教によるご挨拶がありましたが、36回目となる国際色豊かなパフォーマンスを歓迎され、あらゆる人種や宗教を超えて 手と手を取り合いましょう、と唱えられました。米国で真言密教を教えてこられた知人によれば同大聖堂の地下に仏教の秘宝が眠っているとのこと。神仏習合を 体現している大聖堂で地球の明るいビジョンを見ることができました。

 迫力ある折鶴のクリスマスツリーは、広島の原爆の被爆者、佐々木禎子さんを弔う平和の木として1980年代半ばから展示されるようになったもので す。白血病に冒され12歳で天国に旅立った禎子さんの千羽鶴のストーリーを伝え世界平和を願う象徴となっています。大聖堂の近隣にはコロンビア大学があり 日本人の学生も数多く学んでいます。難病の拡張性心筋症などに罹患した日本人の子どもたちの心臓移植を多く手がけているコロンビア大学附属病院も北部にあ ります。

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 以前、ニューヨーク在住の看護師の友人が心臓移植で渡米した家族のサポートをしており、そのチャリティ活動に松井選手も協力されていました。家族 ぐるみで松井選手とお付き合いをしていた同友人から松井選手が水面下でさまざまなチャリティ活動をしていることを教えられました。また、松井選手の整体を 行っていた施術師にニューヨーク出張時にお世話になっていたことがあり、松井選手の気さくなお人柄や真心に(間接的に)触れる機会もありました。

 スポーツやアートは人種や国境を超えた非言語コミュニケーションの代表格ですが、ニューヨーク市では市民の運動振興策を都市計画や環境デザイン、 ビルのデザイン、ユニバーサルデザインを通じて導入し市民の健康増進や健全な都市づくりにおいて大きな成果を挙げました。その内容については次回ご紹介し たいと思います。

 今回は美術館訪問が叶いませんでしたが、図らずも筆者が敬愛するアーチスト、アンリ・マティスの作品に訪問宅で出会い、マティスのお孫さんにも会うこと ができました。佐和貫夫人をニューヨーク近代美術館(MoMA)にご案内し、マティスの代表作の『ダンス』をワイエスやカンディンスキー、ポロックら巨匠 たちの名画と共に鑑賞できなかった代わりに、昨年MoMAで開催されたマティスの切り絵展のアートブックをおみやげに持ち帰りました。

 マティスは71歳のときに十二指腸癌に冒され死線を彷徨っていましたが、その後、南仏のヴァンスという小さな村で偶然看護師と再会し、ロザリオ礼 拝堂の再建を運命として受入れ、教会の設計をはじめステンドグラスや壁画の大作を無償で請負って仕上げ、85歳で天寿を全うしました。2007年にヴァン スを訪問したときの感動は未だに忘れられません。色彩の魔術師と謳われたマティスの晩年の人生の歩みがアートブックに詳細に綴られていました。

 思えば今回の出張は光がテーマになっていたように思い返されます。往路においてはアラスカ上空からカナダ上空にかけてオーロラが観測され、日の出 も美しく、ニューヨークの街並みは真夏のような陽射しでキラキラと輝いていました。ふと、大学時代の観光学の教授が『観光とは国の光を観ることです』と話 していたことを思い出しました。行く先々で人々の優しさや温もりに触れ、クリスマスイルミネーションや教会のステンドグラスや蝋燭の灯に心癒される旅とな りました。

2016年が会員の皆さまにとりまして光り輝く希望に溢れた年となりますように

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