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目に見えない環境汚染時代を生き抜くために33

環境ジャーナリスト 佐藤恵里

◇COP21パリ会議
◇出雲神在祭に赴く


 2015年もいよいよ終盤に近づいて参りました。今年も天災や人災のニュースが世界を駆け巡りましたが来年に向けて明るい展望が開けていくことを期待す るものです。パリでは凄惨なテロで数多くの尊い命が失われ、イスラム国(IS)は日本人市民をターゲットにするとも宣言。壮絶な空爆がシリアで展開される 中、一般市民の犠牲者も増え続けています。果てしない攻撃の応酬の中で人間の尊厳は失われていくばかりです。

 9月上旬の晩に上野の不忍池のハスを観賞しました。池の中に遊歩道が整備されており一面に広がる巨大なハスの葉に圧倒されました。7月下旬から8 月上旬の早朝が見ごろの花も少し残っておりましたが、とある寓話が想起され急に不安に襲われました。その寓話とは地球環境の悪化の例え話のことで、ハスの 葉が毎日2倍に増えていき、あるとき池の半分を覆うようになったものの、まだ半分あると思いきや、翌日には池を覆い尽くして滅びてしまうというお話。

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 不忍池は3つに分かれ蓮池の大部分は既にハスで覆われているそうですが、地球環境の悪化も待ったなしの劣勢です。現在、国連気候変動枠組み条約第 21回締約国会議(COP21)がパリで開催されています。温室効果ガスの大幅削減を排出大国が担っていかなければ、2100年までに温度が4度上昇する と言われています。全世界で取組み温室効果ガスを40%〜70%削減しなければ温度上昇をCOP21の目標値とされる(産業革命以前より)2度未満に抑え ることができません。

 そう言われてもピンとこないかもしれませんが、米国の独立系団体クライメート・チェンジによれば、抑制なき温室効果ガスの排出が続くと2100年 までに海面が4.3〜9.9メートル上昇し、全世界で最大7億6千万の人々が暮らす土地が海に沈むとのこと。既に浸水被害を受けているツバル(海抜最高 4.5メートル)などの太平洋の島しょ国は水没の憂き目にあい、平野部に人口が集中している日本も東京や名古屋の一部など4分の1の人々が暮らす国土が水 没する試算。一般的な海面上昇予測(1メートル以下)を覆す報告に世界が震撼しています。

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 これまでの削減目標は1997年に京都で開催されたCOP3にて京都議定書として具体化したものの、最大の排出国であった米国が離脱するなどの紆 余曲折もあり形骸化した経緯があります。その間、BRICSと呼ばれる新興国等における経済発展が排出レベルをひきあげ、中でも中国は最大の排出国になっ たにもかかわらず、消極的な姿勢を貫いていました。しかしながら、温暖化による海面上昇などの影響も全世界で最大になることが判明し、COP21において は積極的な姿勢をみせています。

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 中国は様々な種類の環境問題を抱え、沿岸部の大都市圏への住民の移住を推進してきましたが、海面上昇による水没リスクに真剣に向き合うことが、国 内のみならず、世界の環境改善に寄与することを肝に銘じてほしいものです。それに対して、当初より積極的な姿勢を貫いてきたEU(欧州連合)は1990年 比で温室効果ガス排出を域内で少なくとも40%削減、しかも、海外クレジットは含まず、拘束力のある目標という崇高な目標を掲げています。

 日本も具体的な削減目標を掲げて取組んできましたが、海外クレジットを含まなければ京都議定書で掲げた削減目標の達成はできませんでした。海外ク レジットについては拙稿のバックナンバーでご確認頂ければ幸いですが、今回のCOP21においては『2013年比で2030年までに温室効果ガス排出量を 26%削減』というハードルの高い目標設定を海外クレジットや森林吸収源をふまえて提出しています。

 日本はこれまで弛まぬ努力で省エネルギーに取組み、さまざまな省エネ技術を開発・応用するなど産業界にはやり尽くした感も漂っており、よほど革新 的な政策や技術なしでは達成しえないという声も聞かれます。佐藤理事長はリフレクティックスの潜在的市場規模を3兆円と仰っており、この革新的な省エネ製 品を広く普及していく道筋がひいては日本の削減目標に貢献することも会員の皆さまに今一度ご認識頂ければ幸いです。

 ◇出雲神在祭

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 昨年の伊勢神宮へのおかげ参りに続き、2013年に60年ぶりに「平成の大遷宮」を終えた出雲大社へ八百万の神々が集う神在月(旧暦10月)の神 在祭に赴きました。20年に一度の伊勢神宮の遷宮と重なったうえ、昨年は高円宮典子女王と出雲大社の祭祀を代々司る千家国麿次期当主のご成婚がありまし た。神話の世界に遡る皇室と出雲大社の世紀の縁結びは、天孫降臨で天津神に国譲りをした大国主大神が神在月に全国からやってきた神々と縁組の相談をされる という信仰の賜物かもしれません。

 筆者と大国主命とのご縁は、名づけ親である埼玉県さいたま市にある武蔵国一の宮氷川神社の御祭神ゆえ誕生と共に始まっています。二千有余年の歴史 を持つ氷川神社のルーツとも言える出雲大社への憧れを抱きつつ、海外との仕事に忙殺され機会を逸していました。実現したのは2007年(日帰り)と 2008年(一泊)のこと。出雲空港から出雲大社に向かうバスから見える田園風景に心癒され、人の姿がまばらな珍しい下り参道を足早に歩き荘厳な佇まいの 出雲大社で母の病気平癒を祈りました。

 あれから7年。最愛の母は天国に旅立ってしまいましたが、神恩感謝と共に、お世話になった方々への感謝を捧げ、環境マテリアル推進機構となっての さらなるご発展を祈念して参りました。今年の神在祭は11月22日夕刻〜28日の夕刻までということで、26日に開催された第21回全国特約代理店会議& 協議会会員下期会議の翌日に出雲入りして28日の午前10時より斎行された今年最後の神在祭に参りました。

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 今回、7年ぶりに出雲大社にお参りして最初に驚いたことは、参道沿いに数多くの店舗が立ち並び多くの観光客で賑わっていたこと。7年前に訪れたと きは、名物の出雲そばやぜんざいのお店も数えるほどしかありませんでした。参道を行き交う人もまばらで、昇殿参拝も筆者のみという寂しさ。それが一転し て、参道は縁結びを願う(?)女性たちで賑わい、さまざまな土産店や飲食店もお客さまでいっぱい。神在祭当日だったこともありますが、出雲の復権を象徴し ているかのようでした。

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 その後、隣接する古代出雲歴史博物館を再訪し、古代出雲の宝物をじっくりと鑑賞して参りました。同館の見どころは何と言っても2000年に出雲大 社境内遺跡から出土した本殿の本物の鎌倉時代の巨大柱(宇豆柱)と荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡から出土した銅剣や銅矛、銅鐸(国宝)など。神話の時代にタイ ムスリップしながら出雲国風土記の世界を体験することができます。

 古代日本に関しては、全国各地のさまざまな発掘によって既成概念が覆されることが続いておりますが、青森県の三内丸山遺跡における大型掘立柱建造 物がその代表と言えましょう。直径と深さ約2メートル、間隔約4.2メートルの地面の穴に直径1メートルのクリの木柱が入っており、6本柱の大型高床建物 があったことが証明されました。紀元前2500年〜2000年の縄文時代の集落からはヒョウタン、ゴボウ、マメ、クリなどが出土し栽培されていたことも明 らかになりました。

 出雲大社においても、出雲大社宮司の千家国造家につたわる、いにしえの巨大な本殿の設計図とされる『金輪御造営差図』に描かれたものと類似した、 直径6メートルもある柱穴にスギの大木3本を1組にした直径3メートルの巨大な柱が出土したのです。鎌倉時代に造営された本殿を支えていた柱である可能性 が高いそうですが、地元で出土した弥生土器にも高床式の神殿が描かれており、古代から建造されてきたのではないかとロマンが広がります。

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 古代本殿については研究者や建築家が想像した模型が複数展示されておりましたが、平安時代には大仏殿よりも大きい建造物が出雲にあったことを示す 書物もあり、その大きさを改めて身近に感じることができました。1881年の遷宮の御用材で、1953年の遷宮の際に徹下された千木(後ろ側はレプリカ) と勝男木も展示されていました。材質はスギで勝男木の長さは545センチメートル、重さは約700キロ、千木の長さは830センチメートル、厚さ24セン チメートル、重さは約500キロという迫力ある荘厳な造りでした。

 最もインパクトのあった展示は荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡から出土した銅剣や銅鐸(国宝)の展示コーナーでした。是非皆さまにも訪れて頂きたく写真 も一部のご紹介に留めますが、これらの青銅器のほとんどは弥生時代の祭器とされ意図的に埋められていたものと考えられており、大量に埋蔵された姿で出土し ました。全国的にも埋葬形式が類似しており青銅器が急速に使われなくなった背景に関連しているようですが理由は明らかになっておりません。

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 出雲神在祭は出雲大社周辺の由縁の地にて斎行されましたが、中でも日本の夜を守り、美しい夕日が沈む大社湾に坐する日御崎神社を外すことはできま せん。桃山時代の面影を残す朱塗りの権現造りの社殿は、徳川家光公の命で日光東照宮建立の翌年より着工され七年かけて建造されたもの。近隣の海底にも祭祀 場のような遺跡があります。出雲大社から神々をお迎えした国譲りの舞台でもある稲佐の浜を通り抜け大社湾の海岸線においては絶景を拝むこともできました。

他にも日本で初めて宮造りが行われ「八雲たつ出雲八重垣妻ごみに八重垣つくるその八重垣を」とスサノオノミコトが詠んだ和歌発祥の地とされる須我神社や スサノオの終焉の地とされる須佐神社、出雲国一の宮の熊野大社、宍道湖の北部に佇む佐太神社など数えきれないほど古い社が点在しています。古墳巡りもした いところでしたが、今回は11万年前から4000年前までに8回の噴火を繰り返していた縄文の聖地と思われる活火山の三瓶山に向かいました。

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 翌日は美しい山並みを見下ろしながら南下し飯南町の大しめ縄創作館に立寄りました。出雲大社の神楽殿にかかる巨大なしめ縄は飯南町注連縄企業組合 が中心となり6年ごとに奉納しているそうです。今年は秩父宮ラグビー場から初めて依頼がきたとか。2019年のラグビーワールドカップの開催に向けて縁起 をかつぎ、開催地とされている新国立競技場の竣工が間に合うようにという願いがこめられているようです。

 出雲訪問前にニュースで広島県の三次市と島根県の江津市を結ぶ三江線の全線廃止をJR西日本が検討していることを知り島根県の中山間地を訪ねるこ とにしたものです。三次市から尾道までは「中国やまなみ街道」が開通しており短時間で到着しました。同街道は尾道松江線と呼ばれる137キロメートルの高 速道路ですが、ほとんどが無料区間で沿線地域の施設を巡りやすくする工夫も感じられました。

 これまでは広島の北部に島根県があることすら定かではありませんでしたが、実際に訪ねてみると案外近く、広島市や松江市、出雲市などの観光名所を 訪れる観光客を中山間地域に誘う仕組みや工夫を期待するものです。出雲大社と広島に向かうこと以外は何も決めずに参りましたが、思いがけない地元の方々と の出会いや美しい風景、近隣でも泉質が異なる珍しい温泉、美味しい地元の食材などに巡りあうことができ縁結びの御利益をすぐさま実感することができまし た。

 年末年始は過去最大の国内旅行客が予想されているとのこと。皆さまもこれまで訪れたことのないエリアに足をのばしてみてはいかがでしょうか。

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