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目に見えない環境汚染時代を生き抜くために26

◇カリフォルニアのエコ・ムーブメント
◇エコハウス・プログラム
◇サステナブル・ワイナリー シダーヴィル・ヴィンヤード

 ゴールデンウィークがスタートしました。新たな環境のもとで生活をスタートした新入生や新入社員が陥りがちな五月病。やっと慣れてきた頃にかかり やすく、放っておくと悪化しかねません。「だるい」「ヤル気がでない」「胃が痛い」「眠れない」といった声を周囲で耳にしたら要注意。叱りたい気持ちを抑 え、共にリフレッシュしたり、学業や仕事の目標を一緒にたてるなど、焦る気持ちや不安を解消できるようにサポートしましょう。三か月程すると新たな環境に も慣れてくるものです。

 筆者にもNPO活動を通じて悩み多き青少年からSOSが届くことがあり、そんなときは、自然に囲まれた神社の参道や境内を歩きながら話をよく聞い てあげます。すると、帰る頃には悩みが整理されて歩むべき道が見えてくるようです。神社に行くのは目標を再認識するのに役立つからです。ストレスの原因を 全て取り除くことは困難ですが、それらを見極めて異なる視点や見方ができれば、ストレスとも付き合いやすくなるでしょう。

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 ところが、悩む本人は新たな視点を見いだしにくく周囲のサポートが欠かせません。若年層に70万人、40歳以上は100万人もいると推計されるひ きこもり。きっかけは「職場になじめなかった」「病気」「就職(転職)活動がうまくいかなかった」「不登校」などが挙げられますが、相談できる家族や友人 がいたら避けられるケースがあったかもしれません。ひきこもりの家族をもつ団塊世代から相談を受けることもありますが、社会的な体裁を優先し、失敗に厳し い日本人の気質にも問題があるようです。

 高齢の被害者が後を絶たない振り込め詐欺が横行していることも、社会的な体裁を優先し親族の恥を隠そうとする日本人の気質が原因でしょうか。ネッ ト時代となりインターネット決済上のトラブルやフィッシング詐欺、コンピュータウィルスの蔓延など個人をターゲットとした攻撃にとどまらず、国家や企業を 相手取ったサイバー攻撃も激化しています。データ漏えいや個人情報流出などのスパイ行為への防御策が充分ではなく、危機管理そのものが脆弱であることを露 呈する事件が相次いでいます。

 EdyやSuica等、さまざまな電子マネーの流通も拡張し続けており、電子決済が現金決済を上回るのも時間の問題でしょう。いずれは現金がこの 世からなくなる時代が到来するのかもしれません。今秋には国民番号制度「マイナンバー・社会保障・税番号制度」もスタートしますが、個人情報の漏えいが相 次ぐ中、果たして国民にとってプラスに運用することができるのでしょうか。

 カリフォルニアのエコ・ムーブメント

 さて、前置きが長くなりましたが、今回は最近訪問したカリフォルニアのエコ・ムーブメントをご紹介したいと思います。カリフォルニア州は18世紀 のスペイン植民地時代や19世紀のメキシコ時代を経て、1850年にアメリカ合衆国の州となりましたが、紀元前1万5千年前からネイティヴ・アメリカンが 住んでいた土地でもあり、現在もカリフォルニア州だけで120を超える部族や部族会議、保留地があります。

 ヨーロッパ系の白人による開拓は1850年代のゴールド・ラッシュによって加速し、農業(果実、酪農、ワイン)や映画産業(ハリウッド)、メディ ア&ハイテク産業などの興隆によって全米50州で最大の人口を擁するようになりました。カリフォルニアの地名には植民地時代の名残りでスペイン語も多く、 ロサンゼルスも「天使」が語源となっています。ヒスパニック系の移民が多く、メキシコとの国境では現在も不法入国者が後を絶ちません。近年は韓国系や中国 系の移民も急増しています。

 筆者が1970年代後半にアラスカ州に住んでいた頃、やっとできた現地の友人がカリフォルニアに引越していってしまいました。長い冬の帳に閉ざさ れたアラスカから見たカリフォルニアは夢の国。彼女がしきりに天国のようなところに行けるのよ!と興奮していたことを今でもよく覚えています。そんなカリ フォルニアを頻繁に訪れるようになったのは90年代に入ってからですが、年間を通じて晴れの日が多くカラッとした気候に心が自然に明るくなります。

今回の米国出張は久しぶりのサンフランシスコ。カリフォルニア州の州都であるサクラメントはサンフランシスコの北東部に位置しています。都会の喧騒が苦 手な筆者はサンフランシスコの湾岸地域(ベイエリア)に移動しがちですが、今回はベタな市内観光のアテンドがありケーブルカーに乗ってフィッシャーマン ズ・ワーフから脱出不可能と言われたアルカトラズ島(観光客に大人気で2週間先でなければ予約がとれない状態)やゴールデンゲートブリッジを鑑賞しまし た。

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 サンフランシスコ市内にヘイト・アシュベリーという60年代のヒッピー文化発祥地があります。泥沼化していたベトナム戦争に対する反戦ムードを全 米に広げる役割を果たした集会や音楽フェスティバルが盛んに行われていたところです。もう一か所、バークレーという都市がベイエリアにあります。全米屈指 のカリフォルニア大学バークレー校は学生運動の世界的な中心地だったこともあり、反体制的且つ進歩的な思想、言論、ライフスタイルの発信地として今なお健 在です。

 筆者が90年代に有機農業関連プロジェクトで出会ったジョエルは、バークレーを拠点に有機農産品を全米に流通させるマーケティング企業を経営しな がら、子どもたちをフリー・スクールで育てるなど進歩的な生活を送っていました。フリー・スクールの定義は幾つかありますが、彼の場合は自由で独創的なカ リキュラムに基づく教育や玄米と味噌汁を中心としたマクロビオティックと呼ばれる食事療法を自宅で実践し、長男はサンフランシスコの南部郊外にある道元の 教えを受継ぐ禅センターでも修業していました。

 アップル社の創業者、スティーブ・ジョブスも禅を実践していましたが、日本の禅宗を初めとする東洋思想が当時のアメリカ人に大きな影響を与えたこ とは広く知られています。既存の覇権主義的な権力に対するカウンター・カルチャー(対抗文化)と呼ばれた当時のムーブメントはドラッグなどの負の側面もあ りましたが、サブ・カルチャーを初め、オルタナティヴな教育や自給自足的コミュニティなど固定観念に囚われない価値観やライフスタイルの選択肢が広がり、 スピリチュアルな運動(ニューエージ)にも繋がっていきました。

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 ゴールド・ラッシュ時代に一攫千金を夢見る山師が集結したサンフランシスコ。今なおアメリカン・ドリームを夢見て世界中からベンチャー起業家が資 金調達に集まる近郊のシリコンバレーを見ていると、パイオニア精神の旺盛なアメリカ人の気質やダイナミズムに圧倒されます。シリコンバレーに点在する有名 なハイテク企業の平均年収は1800万円とか。但し、住宅や家賃など生活費も非常に高いので、それなりの年収がないとやっていけないそうです。

 アメリカでは西部開拓時代から弱肉強食が繰り広げられ現在のような超がつく貧富の格差が生まれました。その一方でキリスト教の教えに則り弱者に手 を差し伸べる国民性や個人献金の多さ(日本の100倍)も特筆すべきことでしょう。マイノリティを初め、競争社会の脱落者たちを受け入れてきたこともカリ フォルニアの寛容さを表しています。オルタナティヴなライフスタイルを実践する人々も数多く、そうしたダイバーシティ(多様性)がアメリカの良心を支えて いると感じます。

 今回訪問したバークレーでは、近郊の有機生産者が集結するファーマーズ・マーケットに立ち寄りました。さまざまな種類の野菜や果物、お花やパン、 乳製品、蜂蜜、ジャム、オリーブオイルなど数多くのテントが立ち並び大勢の客で賑わっていました。1987年から始まった本マーケットは、持続可能な有機 農業の生産者を支援し地産地消を推進しています。もちろん、生産者は遺伝子組み換え作物(GMO)は一切使用していない旨の宣誓をしています。また、環境 や生産者の健康を脅かす臭化メチルやヨウ化メチルを使用した農薬や殺虫剤の使用も禁止しています。

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 ファーマーズ・マーケットは国内でも全国各地で開催されるようになりましたが、本場アメリカの取組みに学べるところも多いようです。単に生産者と消費者 を結びつけるだけではなく、ごみゼロ運動やNPOと提携して余った食材を貧しい家庭やホームレスに供給する仕組みをつくり、地域の健康増進プログラムと連 携してクーポンの使用を認めるなど、地域ぐるみの活動を推進しています。

 エコハウス・プログラム

 次に主催者のエコロジー・センターが推進するエコハウス・プログラムを見てみましょう。バークレー北部に佇むエコハウス&ガーデンを拠点に、健康 的で生産性が高く、エネルギーや水効率の良い環境に優しい居住空間づくりをワークショップやクラスを通じて啓発しています。モデルハウスとなっているエコ ハウスの特徴は次の通り。

 国際エネルギースター製品(省エネの冷蔵庫や洗濯機など)
太陽光パネル、オンデマンド温水器、節水設備、天然・リサイクル建材
天然リノリウム床、竹材のカウンター甲板、排水リサイクルシステム
雨水利用システム、練り土納屋、パーマカルチャー・ガーデン、点滴灌漑設備など

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 断熱材については、耐火・耐腐食のためにホウ酸塩を加えた新聞からできたセルロースをスプレーして使用しています。また、庭の納屋には練り土や藁 を練り込んだ壁を使用しています。練り土壁はトロンブ壁の作用があり、熱を日中吸収し夜に放出することで受動的に建物を暖める一方、夏は冷却効果もありま す。藁を練り込んだ壁にも断熱効果があり、外装は漆喰や繊維セメント壁板で仕上げています。

 バークレーの建築専門書店にて断熱や遮熱に関する著書や資料をチェックしましたが、遮熱材に関する記述は部分的で遅れているように感じました。カ リフォルニアでは屋根裏への遮熱材の利用が進んでおりますが、米国も断熱業界が圧倒的に強い様子がうかがえました。アメリカ発のLEEDというコストや資 源を節約し、居住者の健康に良い影響を与え、再生可能なクリーンエネルギーを活用するグリーンビルディングの認証システムが世界に広がっていますが、次の 機会にご紹介することにしましょう。

 サステナブル・ワイナリー シダーヴィル・ヴィンヤード

 今回の米国取材のハイライトはサンフランシスコから車で北東方面に約4時間半のところにあるシエラネバダ山脈の丘陵地帯で環境に配慮した持続可能 なワインづくりを実践しているシダーヴィル・ヴィンヤードです。シダーヴィルとの出会いは数年前に日本で頂いた一杯のグラスワインがきっかけでした。健康 オタクの筆者はできる限り自然派のワインを選んでいますが、同ワインを日本に紹介しているソムリエの村田みづ穂さんを通じて口にしたものです。

 その深くて濃厚な味わいと余韻に驚くや、その秘密が造り手の弛まぬ努力に隠されていることを知り、ワインの造り手のご夫妻を訪ねてみたいと思うよ うになりました。村田さんは全米最大のワイン生産量を誇るカリフォルニアのワインカントリー、ナパヴァレーにあるプロ専門の料理大学CIAにワイン留学 し、ワインのエデュケーター、ソムリエとして国内外で活躍されています。

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 サクラメント郊外に住む従姉妹に道案内役を依頼し、ゴールド・ラッシュ時代に最も栄えた街の名前を冠したシダーヴィルに到着しました。シエラ・ フットヒルズ・エルドラド郡はゴールド・ラッシュの発祥の地。オーナーでありブドウ栽培者のジョナサン・ラカス、スーザン・マークご夫妻に出迎えて頂きま した。サクラメントから現地に向かう途中は牧場が多く360度の視界が開けた雄大な景色に圧倒されます。シエラ山脈の裾野に近づくにつれてワイナリーが現 れるようになりました。

 ご夫妻は名門カリフォルニア大学ディヴィス校の醸造学部を卒業後、ナパを初めとする様々なワイナリーで活躍。1992年に土地を購入し、自ら開墾 してワインづくりを始めたそうです。その頃は片手で数える程しかワイナリーは存在しなかったものの、パイオニア精神で取組みコミュニティ開発にも貢献。 15エーカー(約6万平米)の自社畑は、標高750mの冷涼な気候に恵まれ、丘の上に建つ自宅からは360度に広がる自社畑はもちろん、シエラネバダ山脈 まで見渡せる絶景を臨むことができます。

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 7種類のヴィンテージ・ワインの試飲から始まったものの、どれも味わいが異なり甲乙つけがたい出来栄え。ワインの知識はほとんどないものの、ジョナサン の説明に頷くことしきり。試飲後にぶどう畑の見学に連れていって頂きました。3月下旬のぶどうの木は、接ぎ木が見事になされており、その先から新芽や若葉 が勢いよく広がっていました。ご夫妻が愛情をかけて育てたぶどうの木は、カリフォルニアでは珍しい花崗岩の土壌に根を深くしっかりとはっています。

 ぶどうの木の下には間作物が植えられており、土壌づくりを助けるさやえんどうなどの豆類が適しているとのこと。除草剤を使わずにヤギや羊を放して 雑草を食べさせる工夫もしています。ぶどう畑のところどころにある白い巣箱のようなものは何とフクロウの巣箱。フクロウは害虫退治に大活躍してくれるそう です。虫との闘いは有機農家泣かせで本当に大変だと伺いますが、生態系を生かした持続可能な農法に取組んでいる姿に改めて驚かされました。

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 今年はカリフォルニアが旱魃状態となって4年目。ロサンゼルスでは給水制限が始まるなど深刻な状況となっています。ジョナサンはワイナリーの中に 3つの井戸を掘り、シエラネバダ山脈から流れてくる地下水や雨水を農業用水として使用しています。節水のための工夫(堆肥づくり、まめな剪定、排水リサイ クルなど)の備えもあり特に影響は受けていないそうです。

 最後にご案内頂いたのはオーク樽が並ぶ貯蔵庫。一歩足を踏み入れるやひんやりとした空気が全身を覆いました。貯蔵庫の周囲は土で覆われており(地 下)エネルギー効率の良い受動的な冷却システムを用いているため空調設備はありません。それでも温度は冬で約14度、夏は18度前後に自然に保たれていま す。夏の期間はSWAMPクーラーという気化熱を応用した補助冷却装置を用い電気代もほとんどかかりません。SWAMPクーラーが機能するには湿度が低い ことが鍵となり、日本の夏には不向きですが、カリフォルニアでは重用されている冷却システムです。

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 ワインは全てご夫妻の手づくり。手摘みのぶどうをすぐさまワイン醸造所に運んで枝をとり粉砕後にプレスしオーク樽に移した後は貯蔵庫で品種により8か 月〜16か月熟成させます。ジョナサンとスーザンはアメリカで最も影響力を持つ造り手ベスト100に選ばれています。但し、オーガニック且つ手づくりのた め生産量が限られ、品種毎に日本に入荷できるワインはごく僅か。今回は村田さんのご厚意で環境マテリアル推進協議会の会員の皆さま限定のワインセットをご 用意頂きましたので、ご興味のある方は是非お試しください。