岡山市の工務店 森材木店 注文住宅 リフォーム 岡山県岡山市南区灘崎町 倉敷市 玉野市

目に見えない環境汚染時代を生き抜くために23

    環境マテリアル推進協議会の会員の皆さま、新年を迎えての事業の滑り出しは如何でしょうか。年を重ねるごとに一年が短く感じることは学者によって も解明されていますが、記憶に残る出来事を数多くつくることで長く感じることができるそうです。つまり、単調な毎日を繰り返していると人生はあっという間 に過ぎ去りますが、どんなに些細な目標でも工夫をこらして達成したり、大きな目標に向かって一日一日を歩むことで人生は格段と充実したものになっていくの でしょう。

 落語家の小噺によれば、人生80年のうち、40年は寝ていて、20年は食事をしていて、10年は通勤やら移動などに費やされ、5歳になるまでは物心つか ないから、人生って、わずか5年なのだそうです。真偽の程はさておき、限られた人生ですから忘れられない素敵な思い出をたくさんつくっていきたいですね。

 今年は和暦で平成27年ですが、西暦(グレゴリオ暦)にすると2015年、昭和(のままだったとすれば)90年、皇紀2675年となります。人口約 1490万人のユダヤ人が用いるユダヤ暦では5775年、人口約16億人のイスラム教徒が用いるイスラム暦(太陰暦)だと1436年となります。日本は明 治5年に改暦して太陽暦を採用しましたが、それまでは太陽太陰暦を使用しており、立春や春分、夏至など二十四節気(にじゅうしせっき)に沿った暮らしを 送っていました。

blog150203-1.jpg

 近年は上記のような月の満ち欠けを記したカレンダーも人気ですが、農業を営む方々にとっても旧暦の二十四節気、七十二候(しちじゅうにこう)がしっくり とくるようです。ちなみに1月20日から2月3日頃までの期間は『大寒』で、一年で最も寒くなる時期と言われています。七十二候は二十四節気を3等分した 期間における気象の変化や動植物の活動を記したもので古代中国に端を発しています。本原稿を執筆している1月30日現在は『水沢腹堅(すいたくふくけ ん)』、つまり、沢を流れている水さえも厳しい寒さで堅く凍る時期とのことですが、皆さまの地域は如何でしたでしょうか?

 子どもの頃は周囲の道路も舗装されておらず、寒くなると霜柱がたつ畦道を通学したものですが、宅地化が進み畑も畦道も消えてしまいました。田んぼでおた まじゃくしや蛙と戯れザリガニをとったり、雑木林でクワガタやカブトムシを探したり、どんぐりを拾ったり、草むらで赤とんぼを追いかけていた当時の風景は 残っておらず、春になると道端でつんだ土筆(つくし)やレンゲソウの姿も見当たりません。七十二候に沿った自然の移ろいを肌身で感じながらの生活も今と なっては贅沢な時間だったと思い返しています。

 里山や里海にはそうした風景が残っており、財政難や過疎化、限界集落化の問題など山積みではありますが、縄文時代から大自然の中に神性を見出し、 先祖を敬い、自然を崇めつつ共生してきた農耕漁労民族のDNAをもつ日本人の伝統や文化を現在に継承している貴重な宝庫とも言えましょう。昨夏久しぶりに 訪問させて頂いた佐藤理事長の故郷の川俣町も満天の星空が美しい里山でした。幼少の頃からキノコ採りや釣りを嗜み腕前も名人級の理事長。福島第一原発の問 題でキノコ採りも釣りもできなくなり楽しみを奪われたことが悔しいとのお言葉を重く受けとめました。

 日本には48基(廃炉する福島第一原発6基を除く)の原発が全国の沿岸部に点在し、稼働はしておりませんが原子炉内にある燃料棒の冷却は当然なが ら続けられています。使用済み核燃料を冷却するための貯蔵プールの空き容量が飽和状態に近い状況のまま再稼働し、未だに最終処分場が決まっていない最大の 問題の先送りを続ける限り将来世代から今を生きる私たちの愚かさや無責任さを問われることになるでしょう。

 地震リスクが心配される浜岡原発の貯蔵プールも約6500本の使用済核燃料でプールの8割が埋まっており、中部電力が「乾式貯蔵施設」の建設許可 申請を1月26日に原子力規制委員会に提出したばかり。再稼働すればプールは数年で満杯になる状況でした。とはいえ、湿式でも乾式でも高レベル放射性廃棄 物が増え続けていくことに変わりはなく地震等で電源喪失すればメルトダウンのリスクが生じます。

 出版社の地湧社が発行する月刊誌『湧』において1987年に発行された『まだ間に合うのなら』というブックレットがあります。チェルノブイリ原発 事故後に甘蔗珠恵子さんという一人の主婦の書いた脱原発を訴える手紙が口コミで大きな反響を呼び50万部を超えるベストセラーとなったものです。2006 年には増補新版となって発行されていますので、是非お手にとって読んで頂ければ幸いです。甘蔗さんは福島第一原発の問題は想定内だったと311後に述べて います。

blog150203-2.jpg

 これからも目に見えない環境汚染リスクや自然災害リスクは高まっていくことが予想されますが、命を中心に据えた考え方は経済優先の世の中において なかなか日の目を見ることがありません。とはいえ、共感する人の輪が世界中に確実に広がってきていることも実感します。リフレクティックスにより省エネル ギーを実現することは原発に頼らない社会づくりに自動的に貢献することになり、日本が見据える脱原発社会の到来を早めることでしょう。

 筆者は、環境汚染時代を生き抜く方策の一つとして、大都市圏の災害時におけるシェルター機能を近郊の里山にもたせ、有事の受け入れ態勢を構築するアイデ アの実現可能性を探りたいと考えています。実際に東日本大震災の折は提携している自治体同士の産官学の助け合いが活発に行われ被災地の復旧や復興に貢献し てきましたが、里山のモデルにおいては、有事のみならず日常の都心部と近郊の里山との交流を出発点にしています。

 シェルター(避難所)というよりはリトリート(静養所)のイメージであり、権利関係や法整備などの問題点はありますが、空き家や利用率の低い施設の活用 をはじめ、エコ・ツーリズムやファーム・ステイ、転地療法など都会と地方との交流推進をベースにしています。311後に全国で太陽光や風力、バイオマスや 小水力など自然エネルギーの導入が自治体レベルでも進みつつありますが、地産地消を念頭にエネルギーの自給率を高めると共に食料の自給率もあげていきま す。

 近年ベストセラーとなっている『里山資本主義』(藻谷浩介・NHK広島取材班著・角川書店発行)の考え方にも共感するものですが、既に地方で行われてい る取組みをご報告しつつ、遮熱建築のプロフェッショナルである皆さまからもご意見やアドバイスを頂きながら具体的なモデルづくりを目指したいと考えており ます。そうしたビジョンを持ちながら今年も里山・里海巡りを続けて参りたいと思いますので、全国の会員の皆さまのお里自慢や復興事例を是非ご教示くださ い。

blog150203-3.jpg

 昨年訪れた能登半島は大自然の宝庫であると共に観光資源の豊富な里山・里海でした。能登空港もありますが予約がとれず小松空港からレンタカーをして海岸 線を通って輪島市に向かったのですが、羽咋市に入ると志賀原発の標識が現れ、こんなところにも原発が建てられていたのかと驚きました。目的地の輪島市に鉄 道が通っていないことにも驚いたのですが歴史的には大陸から人が流れ着きやすい場所で、日本海の海運の交易地として栄えたとあります。

 地元の魚介類はもちろん、名産品の米やそば、能登牛なども美味しく、朝市には採れたて野菜や手づくりの食品が並び食料自給率を高めていく余力を感 じました。エネルギー面でも市民風車ファンドによる11基の風力事業が2010年からスタートしているほか、北陸電力の5基の風車も稼働しています。能登 半島には車で走れる砂浜があり楽しみにしていたのですが、ハンドルをとられるほどの強風のため進入規制されてしまいました。冬には風が強まり風力発電には 向いているようです。

 輪島市は2011年に「輪島市バイオマスタウン構想」を策定して未利用バイオマスの有効利用を促進しています。既に畜産廃棄物を堆肥化して100%再利 用しているほか可燃ごみの一部はRDF化(ごみ固形燃料化)しています。また、2013年には従来は放置されていた地元の間伐材など未利用の木質バイオマ スの発電施設が開設され今年中に稼働と売電が計画されています。

 輪島には輪島塗をはじめとする伝統産業や曹洞宗大本山総持寺祖院のように約7百年の歴史を持つ荘厳な聖地があり、美しい海岸線には伝統的な家屋が 点在し、秘境と呼ばれるに相応しい岬や崖が続く中、景観に見とれながらスリル満点のドライブを堪能しました。地元の方に尋ねてみると冬に底冷えするのが辛 いとのこと。輪島には名湯も多く、リフレクティックスで住環境を改善すれば理想的なリトリートとなるでしょう。

 ポイントはエネルギーの地産地消やゼロエミッション社会に向けて行政と市民が協力して取り組んでいるところにあります。日本には未だエネルギーの 自給自足を実現した自治体はありませんので、是非目指してほしいと思います。今年は北陸新幹線も金沢まで開業するのでより多くの観光客が見込めます。里 山・里海に眠っている観光資源を発掘して海外にもアピールし、年間1300万人を超えた外国人観光客誘致にも力を入れられれば地方再生にも繋がっていくこ とでしょう。

 ゼロエミッション社会の海外事例

 ここで、ゼロエミッションに取り組む海外事例をご紹介しましょう。バルト海の中央に位置するスウェーデン最大の島、ゴットランド島。石灰質の島 は、森林、牧草地と海岸に囲まれ、約5万8千人の住民にとって観光と農業が主な収入源となっています。12世紀からの石造りの教会とその廃墟が多数残って いるほか、ゴットランドの首都ヴィスビーはハンザ同盟によって栄えた中世の面影を残す城壁や塔に囲まれ、1995年には世界遺産にも指定されています。

blog150203-4.jpg

 1983年にエコ自治体宣言をしたゴットランド地方自治体はECとパートナーシップを組み、自主的に2025年までに再生エネルギーで全需要の 100%を供給し、持続可能な社会になることを目指しています。1995年比で化石燃料によるCO2の排出を50%削減し、エネルギー需要の44%を風力 で満たしているほか地元の森林を供給源とするバイオ燃料によって地域熱供給を行っています。さらに、2010年には車や市バス向けのバイオディーゼル・ス テーションができました。

 年間を通じて良好な風が吹くゴットランドは風力発電に適しており、2013年には181MWの設備容量をもつ175基の風力発電機が稼働していま す。また、ゴットランドに住む約2000世帯が風力協同組合を介して「風力株」を保有しており、将来への投資対象として捉えられています。2025年まで には合計500基ほどの風力発電機が稼働することが見込まれています。

blog150203-5.jpg

 ゴットランドは農業で有名な島であり、ライ麦やジャガイモ、ニンジン、砂糖大根が主産品となっていますが、中でもニンジンは甘くて美味しく名産品 の一つとなっています。とはいっても、農業法人の数は減少傾向にあったため、経済活性化の方策として、以前にブログでご紹介させて頂いたゼロエミッション を推進するために創立されたZERIの指導のもとで1996年にプロジェクトがたちあがりました。

 農業と食品加工業の分野で数多くの実績を有するZERIは、島の未利用資源である農作物と残余物に着目し、そこに付加価値をつけることから始めま した。1996年にアメリカで開催されたゼロエミッション第二回世界大会に参加したゴットランドの銀行家のハーカン・アルシュテン氏は、ゼロエミッション のコンセプトに共鳴して応用を開始したパイオニアです。

 そこで選ばれたのは『ニンジン』でした。収穫されたニンジンの25%は最低の品質基準を満たしていないことから牛や豚の餌として処分されていました。 ZERIは、これをキャロットジュースにすることを提案し、規格に合わない大きなニンジンがジュースとして活用され、残渣が飼料として粉砕の必要なく畜産 で利用されるようになったのです。

 さらに、アルシュテン氏は規格に合わないニンジンをキャロットマフィンにすることを提案し、ゴットランドベーカリーで製造されたキャロットマフィ ンは人気を博し、年間500万個を製造し400万米ドル(約4億8千万円)の売上をあげるまでに成長しました。さらに、ニンジンの貯蔵・選別センターをつ くり、現在はアジアにもコンテナ単位で輸出されています。ベーカリーは全て風力エネルギーで賄われており、商品の売り文句は『風力エネルギーでつくられた キャロットマフィン』とのこと。環境問題に敏感な消費者には、化石燃料や原子力エネルギーでつくられたマフィンよりも魅力があるのでしょう。

blog150203-6.jpg

 アルシュテン氏は銀行家として、風力事業者にニンジン・ビジネスを勧めてキャッシュ・フローの改善を促し、同時に早期の回収を実現したのです。風 力事業は他の事業とコストで比較されがちですが、そこから生み出される付加価値を実現すれば、大量生産・大量廃棄システムの中で選択眼や環境問題に意識を もつ消費者にアピールすることができるようになります。

 国内では電源構成(エネルギー・ミックス)という言葉をよく耳にします。電気事業連合会のホームページには、「将来にわたって安定かつ経済的に電 気をお届けするために、原子力をベースに、火力、水力など、それぞれの発電方式の特性を活かし、組み合わせる形が日本における「電源のベストミックス」と 考えています。」と(未だに)書かれています。

 以前取材させて頂いたことのあるカリフォルニア大学バークレー校の物理学の名誉教授から「佐藤さん、あなたは日頃使っている電気は全て同じだと思 いますか?」と聞かれたので「???」と言葉を失っていると、「実は電気のエネルギーは電源構成で異なるのですよ」と語り始められました。「人間の身体に 最も悪影響を及ぼすのが原子力エネルギーによる電気です」とのこと。

 後にも先にもそうした話を聴いたことがなく鮮明に記憶しているのですが、同教授は各家庭に送電されている邪悪なエネルギーを押し返す装置を開発さ れたとのことで、プロトタイプを筆者に手渡してくれました。その「邪悪な」エネルギーはあらゆるコンセントから必要以上に漏れ出ており、使わない電化製品 はコンセントを抜くことはもちろんのことですが、コンセントそのものからも遠ざからなければならないとのこと。

 カリフォルニア大学バークレー校というのは、先ごろノーベル物理学賞を受賞された中村修二教授が所属するカリフォルニア大学サンタバーバラ校を凌 ぐ米国有数の大学です。そこの名誉教授が真面目に語って下さったのですが、余りにも不可解な内容でしたので誰にも話すことはありませんでした。あれから 10年以上経過しましたが、機会があれば同教授を再び訪ねてみたいと考えております。

 話は戻りますが、ゴットランドでは、環境自治体を中心に強い目的意識を持って活動を続けており、企業や学校、生活者自身がゼロエミッションを理念 として掲げてきたことから、ゼロエミッションの成功事例が数多く存在し、ゼロエミッション社会の実現に向けて包括的なシステムアプローチが有効に機能して いると言えましょう。

 スウェーデン国民は環境意識が高い人の割合が高く、温室ガス排出量を1990年比で12%削減しています。そして、2050年には、1990年比 50%削減を、2021年までに主な環境問題をなくすことを目指しています。また、エネルギーの会社や種類を自由に選ぶことができます。

日本においては福島県が、2009年度の実績で県内の一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合において20%に達し、また、再生可能エ ネルギーの導入に関しても、2020年において約40%、2030年において約63%を想定し、2040年を目途に県内のエネルギー需要量の100%に相 当する量のエネルギーを再生可能エネルギーで生み出すことを目指し、「再生可能エネルギーの先駆けの地」として復興に取り組んでいます。最も被害を受けて いる福島県の人々が頑張っていることは世界でも知られるようになりました。この活動が全国に広がることを願いつつ、福島県が掲げているビジョンを共有して 本稿を終えたいと思います。

【ビジョン1】自然循環が保全された社会〜多様な自然環境が保全された社会の実現〜人が活動するにあたっては生態系への思いやりを優先し環境への負 荷低減を図り、生物多様性が保たれ豊かな自然環境が守られるとともに、自然界における物質循環が健全に保たれた、自然の恵みを将来にわたって享受できる多 様な自然環境が保全された社会の実現を目指します。

【ビジョン2】適正な資源循環が確保された社会〜地域循環システムが形成された社会の実現〜産業、行政、学校、家庭等が一丸となった省資源・省エネ ルギーによる低炭素社会へ向けた取組みや廃棄物等の発生抑制、再使用、再生利用の3Rの推進の取組みが定着するとともに、地域の特性や循環資源の性質に応 じた最適な規模での地域循環システムが形成された社会の実現を目指します。

【ビジョン3】心の豊かさを重視した賢い生活様式及び行動様式が定着した社会〜賢いライフスタイルの確立による環境に負荷をかけない社会の実現〜県 民一人ひとりが、自然環境や廃棄物などの環境問題に関して環境の保全が最優先される課題であると認識しその解決方法について自ら考える能力を身に付け自ら 積極的に行動するなど、心の豊かさを重視した賢いライフスタイルの確立による環境に負荷をかけない社会の実現を目指します。