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目に見えない環境汚染時代を生き抜くためにF

 夏休みが終わり新学期がスタートしました。小中学校に通うお子さまがいらっしゃる会員の皆さまの中には夏休みの宿題の指導をされた方もいらっしゃ ることと思います。中でも自由研究や科学研究といった実験やフィールドワークを伴う宿題は子どもたちにとって一大事です。親も一緒に頭をひねりながら協力 する風景が全国的に見受けられるようです。

 以前、佐藤理事長より月例の一泊研修に小学校で理科を教えられていたことのある方が参加されたときのお話をお伺いしましたが、小学校や中学校では 熱移動の常識がきちんと教えられていないとのこと。初等教育から熱移動の3原則がしっかりと教えられるようになってほしいものです。

日常の料理に欠かせないアイテムとなった電子レンジ。これはマイクロ波を食品に照射し、分子の衝突による輻射熱によって食品を温めるものですが、それ が、宇宙空間から地球に注がれる日射が物体に輻射熱を持たせる原理と同じであることを認識している人は大人であっても僅かではないでしょうか。

リフレクティックスの遮熱技術は米国の航空宇宙局(NASA)においても宇宙服等で活用されてきたことは皆さまもご存じかと思いますが、遮熱及び断熱に関するNASAの子ども向けの教材の手引きをご紹介したいと思います。

これはNASAが教育者向けに提供している、NASA eClipsと呼ばれるガイドで、小学校4年生〜6年生を対象とした内容になっています。

理科の授業で教える科目として1時限半をあて(1時限は55分)宿題を出す場合は20分短縮可能な内容となっています。

科学的な側面からは科学研究、物質や物体の性質、科学技術の理解、技術デザイン、数学的な側面からは測定プロセスや測定可能な物体やシステム、測定技術、データ分析のための統計方法の選択が学習ポイントになっています。

さらに、デザインを学ぶという側面からは、デザインの特性やエンジニアリング・デザイン、研究開発やトラブルシューティング、研究開発、発明とイノベーション、実験に重きが置かれています。

筆者は小学校3年生のときに父の転勤の関係でアメリカの小学校に通っていたことがあるのですが、日本の学校とは色々な意味で異なっていました。英語が分 からない外国人にも理解を助ける教材が充実しており、今にして思えば、創造性を育み、創意工夫を促すカリキュラムが組まれていたと思います。

また、根本的な違いの一つに校舎の建築デザインが挙げられます。アメリカ式教育はオープン教育と言われますが、最初に驚いたのは教室にほとんど壁がな かったことです。強いて言えば仕切りがある程度でしょうか。床には絨毯が敷き詰められ、あらゆる箇所に素敵なインテリアや生徒が製作したデコレーションや 写真が展示されていました。学校行事も数多く、イースターやバレンタイン、クリスマスなどの記念日の行事はもちろんのこと、生徒一人一人の誕生日もお祝い するほどパーティーが多かったと記憶しています。

正に開放された教室、開かれた教育というものが実践されていました。生徒と先生の距離は短く、学年毎の区分けも感じられませんでした。ようやく慣れてき た頃に帰国しなければならず、帰国後は閉鎖的な教室や一方的な詰め込み式の授業に馴染めず、帰国子女にありがちな格好のいじめの対象にもなりました。こう した現象をリバース・カルチャー・ショックと呼ぶそうですが、短期間の海外生活にもかかわらず、多感な年代であったゆえ、そのギャップに苦しみもがいたも のです。

話が脱線してしまいましたが、今回のNASAの教育者向けのガイドを読みながら、つい、当時の学校生活のことを思い出してしまいました。現地でも良い思 い出ばかりではなく、白人の多い州でしたので、マイノリティである東洋人や黒人は常にからかわれていましたし、ハロウィーンの行事でお菓子をもらいに訪れ た近所の家で老婦人に「JAPは帰れ!」と怒鳴られドアを閉められたこともあります。

筆者は学校や教育現場を変えたいという思いから教員免許をとり、オープン教育やホリスティック教育といったアメリカやカナダの公教育で実践されている取り組みを学んでいた時期もありましたが、教育に対する持論については別の機会にご紹介できれば幸いです。

さて、NASAの教材で教える絶縁体(断熱、遮熱)の授業の概要を見ていきましょう。

生徒は絶縁の異なる材料の特性について学びます。絶縁に関する理解度を確認し、ハッブル宇宙望遠鏡(以下、「ハッブル」)のサーマルブランケットに対す る理解を広げます。探索と説明の項目では、3つの異なる材料でつくられたコップの絶縁の特性をグループに分かれて検証します。

拡張の項目では、実験の結果から絶縁特性を向上させるための設計プロセスについて考えます。科学者はどのように絶縁について勉強するのか?エンジニアは 科学をどのように技術開発に生かすのか?という問いを重視しながら、生徒が絶縁のコンセプトについて理解したかどうかを復習しつつ、異なる材料をテストし てどちらが最善の絶縁体かどうかを決め、材料の絶縁の特性を向上させるためのエンジニアリング・デザインを学びます。

実験の背景:
二つの温度の異なるシステム間の熱エネルギーが固体、液体、気体、空間を通じて移動します。熱移動は暖かい方から冷たい方へのエネルギー移動のことで、 二つの接触している固体間を熱移動することを伝導、液体や気体を通じて移動することを対流と言います。太陽光は空間(宇宙)を通じて熱移動しますが、これ はradiation(輻射、放射)と呼ばれています。熱移動は材料によっても異なります。伝導体は熱移動を容易くするもので、絶縁体は熱移動を抑えま す。

 実験の準備:4人で1つのグループをつくって取組む
科学実験用の材料リスト:

@ 3種類の異なる材料のコップを準備する
材料の例)発砲スチロール、紙、プラスチック
A サイズ、形、容量を揃えること
例)220 mL
B 温度計(3個)、コップを覆うためのプラスチックラップ(真中に小さな切れ目をつける)※切れ目は温度計をコップの中に入れるためのもの。
C 輪ゴム(3個)、ストップウォッチ、100 mLビーカー(1個)又は100 mLメスシリンダー、400 mLビーカー(3個)、お湯300 mL
※お湯は沸騰していないこと。生徒に熱湯を注がせないこと。45 °C(痛みの温度)は人間の組織の破壊をもたらします。皮膚を晒していると火傷や傷になる危険性がありますので、これ以上の温度のお湯を使用するときは充分注意してください。

 サーマルブランケットは人間が服を着るように宇宙船のためにつくられています。
服が私たちの皮膚を覆って寒い冬の風や灼熱の真夏の陽射しから守ってくれるように、サーマルブランケットはハッブルを過酷な宇宙環境から守っています。

 ハッブルは地球を秒速8キロメートルの軌道で旋回しています。つまり、97分毎に地球を一周し毎日15周していることになります。ハッブルは地球 の陰と太陽に照らされる表面の極端な温度差に晒されています。極端な寒さと強力な太陽の熱の間を往来し、サーマルブランケットの外側の層は約100度の温 度差に45分毎に晒されていることになります。

 サーマルブランケットはハッブルの装置を極端な温度変化から隔離することができなければならず、絶縁材は非常に効果的な材料でなければなりませ ん。ブランケットの材質はおよそ16層のアルミニウムから成りテフロンで覆われています。平らに広げるとブランケットの厚さは非常に薄く、3ミリメートル 以下にしかなりません。

それにもかかわらず、極端な温度から望遠鏡を守ることができるのです。宇宙環境は大変過酷で初日から望遠鏡の外部表面を劣化させていきます。ハッブルは 1990年から地球を旋回しており、テフロン層に少しずつヒビができるため、時折修理をしたり、ブランケットを交換する必要があります。

新たなブランケットの層が修理を必要とするブランケットの外層を覆うことでハッブルの装置を通常の作動温度に維持しています。ハッブルをブランケットで 守ることは、頂上を目指している登山家を守ることに似ており、登山家の絶縁された登山用ウェアが経年劣化するのと同様です。一見ボロボロに見えても登山用 ウェアが登山者を守っているように、現在のハッブルのMission 4で取りつけたブランケットもボロボロに見えますが未だ望遠鏡を守ることができているのです。 

@ それぞれの季節に適した服装について生徒に話し合わせましょう。
A さまざまな服の素材見本を提示してみましょう。
B NASA提供のビデオ素材を利用し、ハッブルのサーマルブランケットについても
紹介しましょう。
http://www.youtube.com/user/NASAeClips#p/c/31002AD70975DC1B/42/wEtjkecqLvM3
C ハッブルのサーマルブランケットは伝導体なのでしょうか、それとも絶縁体なのでしょうか?と問いかけます。答えは絶縁体です。

 探索:
次に探索の項目では生徒に異なる素材の比較をさせつつ科学者のように考えてもらいながら最善の絶縁体が何なのかを決めてもらいましょう。科学者は先行す る実験や観察、研究に基づいて仮説をたてるものです。ここでは一つの変数のみを検証する実験を行います。科学者は収集データの分析に数学を用います。デー タから結論を導き出すためにパターンや傾向を探索します。

 生徒にはガイドに従って実験を行いデータを記録し、グループ内の各生徒の役割について話し合わせます。例えば、温度計を計測するグループと2分間 のインターバルを計測するグループ分けをしても良いでしょう。ある生徒がコップをしっかりと押さえ、もう一人は温度計をコップから抜き取る作業を担当して も良いでしょう。生徒のグループの準備ができたら手を挙げさせて、先生がコップにお湯を注いでください。

 実験の手順:

@ 準備した3種類のコップにそれぞれ番号を記します。
例)発砲スチロールのコップ#1 紙コップ#2 プラスチックコップ#3
A 実験結果の仮説をたてます。
B 400 mLビーカー内に各コップを置き、お湯を注ぎます。
C お湯がコップに入ったらコップを切れ目の入ったプラスチックラップで覆い輪ゴムでとめ、温度計を中に入れます。
D 3種類のコップの最初の温度を計測して記録します。
E 2分毎に20分間、それぞれの温度を計測して記録します。
F 記録した温度をグラフにします。
blog130903-1.jpg

 説明:
次に説明の項目では、生徒にデータを分析させましょう。それぞれのカップの最初と最後の温度について検討します。収集したデータに関する議論を促すため に次のような質問をなげかけても良いでしょう。計測した温度の違いは何でしょう?計測した温度には傾向があるでしょうか?それぞれのコップで伝導、対流、 輻射の内、何が起きたのでしょうか?実験結果は仮説を裏づけるものでしょうか?実験結果から証明された最善の絶縁体は何でしたでしょうか?この材料の絶縁 の特性をどのように改善できるでしょうか?

 拡張:
次に拡張の項目では生徒にエンジニアのように考えてもらいましょう。ここでは生徒に最善の絶縁体のR値(熱抵抗値)をあげる工夫を促します。生徒が理解 しなければならないことは、エンジニアには現実の社会のデザインの中で要求される基準があることです。サイズやコスト、リソースも含まれます。制約を加え ることもできます。例えば、生徒に予算を与え、予算範囲に材料コストを抑えるなど。

 拡張の項目では生徒が建材用の評価システムであるR値(熱抵抗値)のコンセプトを学びます。建材の耐熱性はR値(熱抵抗値)で表され、R値が高い ほど良い絶縁体となります。生徒のレベルにより、カップを重ねたり、コップを覆う他の材料を使用させてみても良いでしょう。アルミホイルやペーパータオ ル、布、コーヒーフィルターなど。

 材料を繋ぎ合わせるために糊やテープ、ホッチキスや輪ゴムを使用するための基準や制限を設けましょう。エンジニアリング・デザインのプロセスを学 ぶためにNASAのビデオ教材を使用しても良いでしょう。生徒がデザインした絶縁容器を試してみましょう。コップの絶縁の特性を向上させるための話し合い をさせることから、アルミホイルの層を加えることになるかもしれません。アルミホイルを追加することは住宅用の遮熱材に似た材料をつくることになります。

 絶縁体は省エネのために建設プロジェクトに利用されています。例えば、家を建てるときには屋内の温度を一定に保つために絶縁体が使われています。 即ち、冬には暖かい空気を中にとどめ、冷たい空気を外に隔離します。夏はその逆です。天井や壁、カーテンも絶縁材料でつくることができます。

授業で使用される教材にはNASA のゴッダード宇宙センターに勤務する航空宇宙エンジニアのマイク・ワイス氏も登場し、日々の業務や訓練、なぜNASAの航空宇宙エンジニアになりたかった のか、というキャリア・クリップも紹介されます。生徒たちへのアドバイスも行い、生徒たちに将来の職業への関心を高める工夫も忘れていません。

「私の生徒の皆さんへのアドバイスは、幅広い分野の教育を受けながら、フィールドワークや職業体験(インターンシップ)、協業する機会を設けてほし いと思います。私は9歳のときにエド・ホワイトが宇宙遊泳をする姿を見た瞬間からNASAの航空宇宙エンジニアになりたいと思っていました。自分のなりた いものを早く探そうとしなくても大丈夫。それは何かが起きるときに自ずと分かるものです。」 マイク・ワイス

以上、アメリカの小学校4年生〜6年生に教えられている授業についてご紹介させて頂きました。日本でもこうした授業が行われる日が来ることを期待したいと思います。  

以上